2004 Fiscal Year Annual Research Report
重力レンズを用いた位置天文学的手法による銀河系構造の研究
Project/Area Number |
15540240
|
Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
大西 浩次 長野工業高等専門学校, 一般科, 助教授 (20290744)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 登志夫 国立天文台, 天文情報公開センター, 教授 (70231735)
|
Keywords | 重力レンズ効果 / 位置天文学 / アストロメトリック・マイクロレンズ / マクロ重力レンズ / 銀河系 / 銀河系中心 / Sgr A* / 近傍銀河 |
Research Abstract |
位置天文学的マイクロレンズ(重力レンズ効果による位置のずれ)の観測は、銀河系内の構造の研究に有効な観測手法である。本研究の2年目は、おもに銀河系によるマクロな位置天文学的重力レンズ効果を調べた。 ● 銀河系中心方向の星の集団(銀河バルジおよび、銀河核バルジ)によるマクロな位置重力レンズ効果 銀河系中心方向を通して見える複数のクエーサーは、銀河系中心方向の星の集団(銀河バルジおよび、銀河核バルジ)によるマクロな位置重力レンズ効果を受けている。これらのマクロな位置重力レンズ効果の大きさは数秒に達するが、そのクエーサーの位置偏向(ずれ)の大きさそのものは観測できない。しかし、太陽系の銀河回転に伴う銀河系中心方向の銀河中心とクエーサーの相対運動によって、クエーサーの位置重力レンズ効果の大きさが変化する。このずれの変化は観測可能量である。我々のこれまでの研究で、銀河回転による銀河中心天体Sgr A*の見かけの固有運動を6ミリ秒角/年とすれば、クエーサーのずれの変化は1マイクロ秒角/年オーダーであり、ポテンシャルの傾きが変わるまでの数千年間ほぼ一様であることがわかっている。今回、さらに、銀河系中心方向の銀河核バルジ、バルジ、デスクの3成分の質量分布モデルを使い、それぞれの成分ごとに、位置重力レンズ効果の影響を調べた。その結果、クエーサーのずれの変化の大きさは、銀河中心方向が最大で、銀経方向には指数的に減少し、10度付近でゼロになるが、銀緯方向への減少は小さく、5度付近でも中心方向の4割程度もある事がわかった。さらに、銀河系中心方向をとりまく複数のクエーサー間の相対位置変化の測定から、銀河バルジと銀河核バルジのマクロな位置重力レンズ効果の違いから銀河バルジと銀河核バルジの質量分布が分離できる可能性がわかった。現在、これらの成果を論文にまとめ、年度末には投稿予定である。
|
Research Products
(2 results)