2003 Fiscal Year Annual Research Report
重イオン及びハイパー核反応に基づく超新星物質の状態方程式と核種分布テーブルの構築
Project/Area Number |
15540243
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大西 明 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70250412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住吉 光介 沼津工業高等専門学校, 教養科, 助教授 (30280720)
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Keywords | 超新星爆発 / 状態方程式 / 高エネルギー重イオン衝突 / 集団運動流 / (π^-,K^+)反応 / ストレンジネス / 核破砕 / 流体模型 |
Research Abstract |
超新星爆発の理解には、ハイペロンの発現が期待される高密度から元素生成の起こる低密度に達する様々な温度・密度での核物質の性質を明らかにする必要がある。本研究では、(A)AGS-SPS-RHICエネルギーの重イオン反応、(B)ハイパー核反応データによるハイペロン・ポテンシャルの決定、(C)低密度超新星物質における原子核種分布、(D)新星物質の状態方程式・核種分布テーブルの構築と超新星爆発メカニズム、の4つの個別課題の研究を通じて実験データに基づく超新星爆発のより現実的な記述を可能にすることである。本年度はそれぞれの個別課題についての研究を着実に遂行した。 (A)高エネルギー重イオン反応については、運動量依存性をもつ核子の平均場を導入して核子当たり1GeVから160GeVまでの重イオン衝突データに現れる集団運動流(フロー)を分析し、この広いエネルギー領域におけるフローが微視的な輸送模型(JAM-RQMD/S)で説明できることを示した。ただし、高エネルギー領域では状態方程式(密度依存性)への依存性が大きくないため、今後より詳細な分析を進める必要がある。 (B)ハイパー核反応では原子核標的の(π^-,K^+)反応(素過程はp(π^-,K^+)Σ^-)における素過程断面積・核内での媒質効果・有効質量依存性等について分析を進め、1段階反応を直接反応模型範囲内で理解するためにはΣ^-粒子が核内で感じるポテンシャルとして60MeV以上の強い斥力が必要であることが示された。 (C)低密度での原子核種分布は核破砕反応により実験データと結びつく。今年度は10GeV以上の高エネルギー陽子入射反応についての分析を進め、初期反応によって作られる形状効果と核物質が力学的に不安定となるρ_0/3程度までの膨脹効果を取り入れることにより質量分布・角度分布・エネルギー分布が定量的に理解できることを示した。 (D)超新星爆発のダイナミクスについては1次元(球対称)流体模型での詳細な分析をまとめ挙げるとともに、ハイペロンが現れた場合の状態方程式テーブルを構築し、爆発エネルギーを有意に増加させることを示した。(A),(B),(C)の最新の研究成果を取りこんで改善したテーブルを今後構築する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] C.Ishizuka: "Liquid-Gas Phase Transition of Supernova Matter and Its Relation to Nucleosynthesis"Nuclear Physics. A723. 517-543 (2003)
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[Publications] K.Sumiyoshi: "Properties of a relativistic equation of state for collapse-driven supernovae"Nuclear Physics. A730. 227-251 (2004)
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[Publications] A.Ohnishi: "SU(3) chiral σ model for positive and negative parity baryons in dense matter"Nuclear Physics. A(印刷中). (2004)
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[Publications] C.Ishizuka: "Finite temperature effects on supernova explosion energy and hyperon composition"Progress of Theoretical Physics Supplement. (印刷中). (2004)
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[Publications] S.Yamaguchi: "Proton-Induced Nuclear Fragmentation with Non-Equilibrium Percolation Model"Progress of Theoretical Physics Supplement. (印刷中). (2004)