2003 Fiscal Year Annual Research Report
超新星物質におけるハイペロン混合と誕生時の中性子星
Project/Area Number |
15540244
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
西崎 滋 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (60198455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高塚 龍之 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (50043427)
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Keywords | 超新星物質 / ハイペロン / 状態方程式 |
Research Abstract |
超新星爆発直後の、生まれたばかりの熱い中性子星の内部では、ニュートリノ(ν)のトラッピング現象のためにエントロピーがほぼ一定で大きく、高温で高密度の物質(超新星物質)が形成される。この超新星物質には、核子、電子、電子ニュートリノの他、Λ、Σ^-などのハイペロンも混在している可能性があり、化学平衡・バリオン数保存・電荷保存・レプトン数保存から、各粒子の混在度が決まる。それを有効相互作用アプローチで評価した結果、通常の中性子星内部の物質(中性子星物質)と比べて、以下のような特徴を持つことが分かった。 (1)レプトン数保存のため電子の混在度が大きくなり、その値は密度の変化に依らずほぼ一定である。電子ニュートリノの混在度は電子の混在度に比べてずっと小さい。 (2)電子の混在度が大きくなるため、電荷保存により陽子の混在度も大きくなる。 (3)レプトン数保存のため、高密度領域でのΣ^-の混在が大きく抑制される。これは、Σ^-の混在を決める化学平衡の条件式中で、νの化学ポテンシァルがΣ^-の質量の役割を果たすからである。ΛについてはΣ^-のような大きな変化はみられない。 このような特徴をもつハイペロンの混じった超新星物質の状態方程式は、中性子星物質の状態方程式よりも少し硬くなる。また、高密度領域で、内部エネルギーへのハイペロンの寄与に比べて、エントロピーへのハイペロンの寄与が重要になってくる。また、電子と電子ニュートリノの内部エネルギーやエントロピーへの寄与は、密度への依存性が小さいことが分かった。
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