2005 Fiscal Year Annual Research Report
超対称性の破れに関する素粒子現象及びその字宙模型構築への応用
Project/Area Number |
15540247
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
諸井 健夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60322997)
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Keywords | 素粒子論 / 超対称模型 / 初期宇宙 |
Research Abstract |
今年度は、超対称模型に基づく宇宙進化のシナリオについて、特に宇宙暗黒物質の起源の理解という観点から研究を行った。まず、次世代の高エネルギー実験のひとつとして国際的に興味を持たれている電子・陽電子型線型加速器において、最も軽い超対称粒子を宇宙暗黒物質として用いるシナリオがどの程度検証可能であるかを議論した。その結果、「フォーカスポイント領域」などの興味深いパラメータ領域において、線型加速器が最も軽い超対称粒子を宇宙暗黒物質として用いるシナリオの検証に重要な役割を果たし得ることが明らかとなった。特に、線型加速器によって得られるであろう超対称パラメータの精度を仮定すると、宇宙暗黒物質の密度が10%程度の精度で計算可能であることがわかった。 また、カーバトンシナリオが宇宙進化、特にインフレーションシナリオに与える影響についても議論した。そして、カーバトンシナリオを考えた場合、インフレーション模型に対する観測的制限が大きく緩められることを明らかにした。特に、カーバトンシナリオにおいては、単純なインフレーション模型を仮定した場合よりも、スケール不変な宇宙密度揺らぎの種を用意に生成することが可能であり、この事実を用いるとこれまでに観測から否定されていたインフレーション模型に関しても、実現の可能性が再浮上することが明らかとなった。 さらに、Large cutoff supergravityと呼ばれる模型についても考察を行った。そして、この模型の枠内で、現在の宇宙進化の諸問題(バリオン非対称性の生成・宇宙暗黒物質の起源の理解・インフレーション後のグラビティーノ生成の抑制など)を解決できる宇宙進化のシナリオが構築可能であることを指摘した。
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Research Products
(5 results)