2006 Fiscal Year Annual Research Report
超対称性の破れに関する素粒子現象及びその字宙模型構築への応用
Project/Area Number |
15540247
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
諸井 健夫 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (60322997)
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Keywords | 素粒子論 / 宇宙論 / 超対称模型 |
Research Abstract |
近年の実験的・観測的発展を背景に、これまで得られた知見の更なる発展を行った。素粒子論的宇宙論の分野では、標準模型粒子の超対称パートナーの中で最も軽い粒子が左巻きニュートリノの超対称パートナーである場合に着目して、そのシナリオにおける元素合成からの制限を議論した。具体的な手法としては (1)左巻きニュートリノの様々な崩壊モードについての崩壊幅を正確に計算した (2)そこから生成されるパートンのエネルギー分布を求めた (3)パートンのハドロン化を議論し、左巻きニュートリノ崩壊によって生成されるハドロンのスペクトルを求めた (4)それらハドロンが、宇宙初期の元素合成に与える影響を議論した また、ニュートリノ質量がディラック型であるような超対称模型を考え、その枠内で右巻きニュートリノの超対称パートナーが宇宙暗黒物質となる可能性を議論すると共に、どのようなパラメータ領域でそのようなシナリオが実現されるかを明らかにした。具体的には、以下のような場合に右巻きニュートリノの密度パラメータが現在の宇宙の暗黒物質密度と同程度となることがわかった: (1)右巻きスニュートリノと左巻きスニュートリノの質量の縮退が数10パーセント程度以下のとき (2)ニュートリノ質量が縮退型のとき (3)最も軽い超対称標準模型粒子の崩壊で右巻きスニュートリノが多く生成されるとき さらに、超対称粒子の対消滅過程に対するQCD補正の計算を行い、その効果が宇宙の暗黒物質量の計算に与える影響を議論した。その結果、フォーカスポイント超対称模型と呼ばれる模型においては、最も軽い超対称粒子の宇宙残存量が、QCD補正により数10パーセント程度変わりえることがわかった。
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Research Products
(3 results)