2004 Fiscal Year Annual Research Report
陽子非弾性散乱を用いた中性子ドリップライン領域における核変形の研究
Project/Area Number |
15540257
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 隆司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50272456)
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Keywords | 不安定核ビーム / 中性子ハロー / 魔法数の破れ / 非弾性散乱 |
Research Abstract |
本研究では、ドリップライン付近の超中性子過剰核^<19>C,^<14>Be等の陽子非弾性散乱を行い、これらの核の未知の励起状態を特定し、そのエネルギー・スピンを同定すること、さらに、非弾性散乱断面積から遷移強度を導出し、核変形度を求めることを目指してきた。こうした励起準位や核変形の情報は中性子過剰領域における魔法数の変化や中性子ハローなどのエキゾチック構造発現のメカニズムを探る上で鍵となるものである。 この研究では、実験に先駆けて、核スピンの同定に重要な役割を果たす角度分解能の高いドリフトチェンバーを開発した。このドリフトチェンバーは陽子標的直後に置かれ、非弾性散乱の角分布を高精度で測定できる能力を持つ。実際に、オフライン、オンライン実験の結果、角度分解能として1.8mrad(1シグマ)という必要十分な分解能をもっことがわかった。 本実験は理化学研究所のRIPS不安定核ビームコースで行われ、2次ビームとして、^<19>C,^<14>Be、^<17>B,^<18>C,^<17>Cのビームについて非弾性散乱の測定を行った。束縛励起準位についてはインビームγ線分光法により、また、非束縛励起準位については不変質量法により測定した。 実験の結果、^<14>Be核に新たな非束縛準位の状態を示唆する結果を得た。これは中性子過剰ベリリウム核における魔法数の破れの問題を解明する上で重要な成果である。また、その他の核についても何本か新しいγ線遷移が確認されている。弾性散乱のデータも副産物として得られており、不安定核の光学ポテンシャル決定も可能となる。現在、さらに、これらのデータの詳細解析を進めつつあるところである。
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Research Products
(6 results)