2004 Fiscal Year Annual Research Report
Knee領域一次宇宙線観測のための空気シャワーコア検出器の開発
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15540260
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
柴田 槇雄 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (50018016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片寄 祐作 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (90323930)
齋藤 敏治 東京都立航空工業高等専門学校, 電子工学科, 教授 (40259833)
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Keywords | Cosmic Rays / Composition / Knee / Origin / Air shower |
Research Abstract |
宇宙線起源の研究にとって重要なKnee領域(10^<15>eV〜10^<16>eV)の一次宇宙線組成を解明するために、鉄成分などの重原子核に起因する空気シャワーコアのエネルギー流を測定するバースト検出器の開発を行った。バースト検出器は40cm x 50cm x 3.5cm厚の鉛の下に1cm厚のシンチレータを置き、Wave length shifting fiberを通して光電子増倍管によりシンチレータからの信号を取り出す方式とし、平成15年度に1台の検出器を試作した。2つの光電子増倍管を用いることにより広いダイナミックレンジを確保している。空気シャワーシミュレーションによる検討から、このような検出器をチベット羊八井(標高4300m)の空気シャワー観測装置の中心部に3.75m間隔で格子状に配置したデザインによってArtificial Neural Networkを用いた解析から一次線組成の決定が可能であることを示した。(日本物理学会第59回年次大会(九大)28aZE9「チベット空気シャワーコア検出器の開発(I)」、日本物理学会2004年秋季大会(高知大)29aSF-2「Tibet実験によるKnee領域一次宇宙線化学組成(II)」。 平成16年度は光電子増倍管のlinearityチェック、ワイドレンジ化の試み、シンチレータの位置依存性のチェック、データ収集システムの開発などを行った後、4台のバースト検出器を製作してチベット空気シャワー観測装置の中心部に設置し、平成16年10月よりテスト観測を開始した。現在バースト検出器のトリガーしきい値を40粒子相当に設定して、期待値どおりのトリガー頻度でデータが順調に収集されている。これまでに解析されたデータはシミュレーションとも良く一致し、目的とした空気シャワーコア観測装置としての性能が十分に発揮されていることを確認した。この結果は日本物理学会第60回年次大会(東京理科大)で発表する予定である(24aXH2「Tibet実験によるKnee領域一次宇宙線化学組成(III)」,24aXH3「TibetASγ連動実験によるKnee領域の宇宙線化学組成とエネルギースペクトルの研究」,25aXH7「チベット空気シャワーコア検出器の開発(II)」)。 本研究で開発した検出器は次期の大規模実験で十分実用に耐える性能を持つことが示された。今回開発した検出器を20x20の格子状に配置することにより、高い統計精度でknee領域のproton,helium,Feの各成分スペクトルが数年間の観測から明らかにできると期待される。
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Research Products
(4 results)