2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540268
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑 浩之 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70164837)
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Keywords | 超弦理論 / 弦の場の理論 / VSFT / AdS / CFT対応 / Wilsonループ演算子 / ループ方程式 |
Research Abstract |
今年度は、 (1)Vacuum String Field Theory(VSFT)における古典解に関する様々な数学的構造の解析、 (2)4次元N=4超対称Yang-Mills理論におけるループ方程式とAdS/CFT時空上の弦の場の理論の方程式の関係、 の二つのテーマについて研究を行った。 まず、(1)の研究は、VSFTを不安定D-braneを表すと期待されている古典解の周りに展開して得られる理論の構造を調べたものである。特に、a)この展開で得られる理論の弦場は開弦を表す場であると考えられるが、開弦の境界条件がどのように実現しているのか、また、b)この古典解の弦の中点における振る舞いに関係した様々な数学的構造、の二点を解析した。これらの成果は、共同研究者の森山翔文氏(名古屋大学多元数理科学研究科)との二編の共著論文として発表された。 次に、4次元N=4超対称Yang-Mills理論は、AdS_5×S^5時空上の超弦理論と等価であると期待されているが(AdS/CFT対応)、(2)の研究は、この等価性の弦の場の理論を用いた証明への第一歩である。具体的には、超対称Yang-Mills理論におけるWilsonループ演算子を弦場と同定し、これが従うループ方程式を弦の場の理論の運動方程式と考えて、後者がAdS_5×S^5時空上の超弦の場の理論の運動方程式とみなせることを示そうという戦略である。この研究では、そのために必要な第一ステップである、i)4次元N=4超対称Yang-Mills理論におけるWilsonループ演算子の定義、ii)そのWilsonループ演算子の従うループ方程式の導出、に成功した(正確には、Grassmann座標の二次まで)。更に、ループ方程式のGrassmann座標に依らない最特異項を取り出し、この部分が確かにAdS_5×S^5時空上のボソン的弦場の運動方程式の構造をしていることを確認した。この研究は、大学院生の三輪光嗣氏との共同研究として発表された。
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