2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540275
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 透 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教授 (10135650)
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Keywords | ニュートリノ / デルタ共鳴 / 原子核反応 / 重陽子 / 中性電流 / 荷電電流 |
Research Abstract |
本年度は本研究計画で開発した核子におけるデルタ共鳴領域における、中性、荷電電流によるニュートリノ反応のダイナミカル模型を、原子核におけるニュートリノ反応、電子線による反応に適応した解析を行った。 本研究では中間子交換模型に基づき非共鳴過程を取り入れ、ユニタリティを満たす中間子生成振幅を構築した。この電磁電流に対する模型は陽子における中間子発生反応断面積を非常によく記述していることがこれまでの研究で確かめられている。これを拡張したニュートリノ反応の模型は現在得られている実験データをよく記述していることがまた確かめられた。共鳴領域のニュートリノによる中間子発生反応の模型ではこのようなダイナミカルな模型はこれまでになく、本研究成果が初めてのものである。今年度は、1GeV程度の入射レプトンエネルギーにおける12Cに対するinclusive反応を調べた。この際、核子の相関を取り入れたスペクトル関数を用い、また共鳴領域における素過程の強いエネルギー依存性を考慮して核子のフェルミ運動、反跳核子のパウリ効果を取り入れた。その結果実験データと比較ができる電子線による反応断面積はquasi-free、デルタ生成領域ともにほぼデータを説明できることがわかった。この際、類似の研究で用いられた中性子反応強度は十分正確でなかったため我々と異なる結論が得られていたことが判明し、ダイナミカル模型の重要性が再確認された。我々はこの模型を用いてニュートリノ原子核反応断面積の予言を行った。これらの研究成果は国際会議において口頭発表を行いまた、学会誌に投稿中である。 最後に、この研究計画の成果に基づいて2GeV程度までのN*共鳴領域における中間子発生機構研究の定式化を行うことに成功し、新たな研究の芽を生み出すことができた。
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Research Products
(4 results)