2004 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノ混合とレプトジェネシスでのCPの破れの関係を探る研究
Project/Area Number |
15540276
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高杉 英一 大阪大学, 大学教育実践センター, 教授 (00135633)
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Keywords | ニュートリノ混合 / ニュートリノの質量行列 / CPの破れ / マヨラナ位相 / bi-maximal mixing / 繰り込み群の効果 / レプトン数非保存過程 / レプトンの香りの非保存過程 |
Research Abstract |
CPの破れの起源を探るためには、クォークやレプトンの質量の成り立ちとそれらの構造を調べなくてはならない。このためには、大統一理論からの予言に関する研究と同時に、様々な実験からどのような情報が得られるかを研究することが大切である。このために次の研究を行った。 1.ニュートリノ混合行列に関する研究 本研究では、T(時間反転)変換に対するニュートリノ振動確率の非対称性を解析的に求め、この観測がディラック位相を決定するために最適であることを示した。 本研究では、レプトン数非保存過程に関して、二重ベータ崩壊(A,Z)→(A,Z+2)+e^-+e^-の他の可能性として、原子核によるμ捕獲の現象、μ^-+(A,Z)→(e^+,μ^+)+(A,Z-2)の可能性を調べた。さらに、このほかの様々な過程を考察し、マヨラナ位相を実験的に観測する可能性を調べた。 2.大統一理論からのニュートリノの質量行列の研究 大統一理論の観点からは、質量行列は柳田達の提案したsee-saw機構からできていると考えられる。ここで現れるディラック質量項とマヨラナ質量項をどのようにして実験的に測定するかが大きな問題である。 本研究では、ニュートリノの質量項における繰り込み群の効果を大変よい精度で解析的に求めることに成功した。太陽ニュートリノに現れる混合や質量の2乗の差への影響を求め、特にGUTスケールでbi-maximal混合が実現されている場合を詳しく調べ、この模型の予言を分析した。特に、低エネルギーでの|V_<13>|やディラック位相が繰り込み群から発生すること、二重ベータ崩壊の有効質量が0.02eV程度であること、レプトンの香りを破るプロセスが大きな頻度で起こること、レプトジェネシス機構で発生するバリオンス数を説明できることを示した。
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Research Products
(2 results)