2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540281
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
熊野 俊三 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (10253577)
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Keywords | 構造関数 / パートン / クォーク / グルーオン / 量子色力学 / Q^2発展 / 核子 / 破砕関数 |
Research Abstract |
1.偏極パートン分布関数 レプトン・核子非弾性散乱や偏極陽子・陽子衝突のスピン非対称性の実験結果から、最適縦偏極パートン分布を求める研究を進めた。特に、PHENIXのπ中間子生成のデータや将来のJLabの実験が偏極グルーオン分布関数の決定に及ぼす影響を調べた。また、HERMESとCOMPASS実験のQ^2の違いを利用して、大きいx領域のグルーオン分布を制限することができることを示した。 2.原子核内パートン分布関数 高エネルギー原子核反応の実験データを解析して、原子核内パートン分布関数を決定する研究を推進した。特に、摂動高次項の影響を入れて解析し、Hessian法を用いて得られた分布関数の不定性を計算した。また、重陽子・陽子比F_2^D/F_2^Pの実験データを解析に入れることにより、重陽子内の原子核補正を正確に求めた。この解析により、摂動高次項を導入した解析においてもグルーオン分布に大きな不定性があることことがわかった。 3.破砕関数 電子・陽電子消滅反応におけるハドロン生成の実験データを解析することにより破砕関数を求め、それらの関数の不定性を評価した。得られた結果によれば、グルーオンや軽いクォークの破砕関数の不定性が小さいQ^2領域において大きく、小さいp_T領域のハドロン生成反応を記述する際考慮する必要があることがわかった。これまで、KKP(Kniehl, Kramer, and Potter)とKretzerの破砕関数が広く使用されてきたが、これら2つの関数は大きく異なることが知られている。我々の解析では、これらの異なる関数は求められた不定性の範囲内にあり、矛盾しないことがわかった。
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Research Products
(6 results)