2005 Fiscal Year Annual Research Report
クォーク模型から得られるバリオン間相互作用の短距離部分と原子核に現れるその影響
Project/Area Number |
15540289
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Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
竹内 幸子 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (90251503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 清孝 上智大学, 理工学部, 教授 (00143363)
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Keywords | 理論核物理 / ハドロン物理 / ハイパー核 / クォーク模型 / ペンタクォーク / フレーバー1重項のラムダ粒子 |
Research Abstract |
この研究の目的は、正負パリティのバリオン単体系の励起状態と2バリオン系の性質を同時に記述できるようにしたクォーク模型を用いて、種々の原子核やハイパー核に対する構造計算を行い、クォーク模型から得られる相互作用に特徴的な部分がどの様な影響を核の性質に及ぼしているかを調べることにある。 本年度は、まず、近年B中間子の崩壊から発見されたX(3872)中間子が単純なクォーク反クォーク対(cc^^-)の状態ではなく、軽いクォークのクォーク反クォーク対を加えた正パリティ、スピン1の状態(qq^^-cc^^-)であることを仮定し、その状態をクォーク模型を用いて調べた。その結果、この状態は、2中間子の分子的状態と引力的な2クォーク2反クォーク状態の重ね合わせとして表せることがわかった。 また、フレーバー1重項のラムダ粒子を含む、負パリティの重粒子について、質量を計算した。実際に観測されている質量には、例えばシグマ粒子が1670MeV程度より重い状態しかないのに対し、もっとも軽い負パリティのラムダ粒子は1406MeVであって、ラムダ粒子だけに非常に軽いものがあることの説明が求められている。 今回の研究により、まず、負パリティの重粒子に4クォーク1反クォーク状態を仮定すると、対称性により、ラムダ粒子およびシグマ粒子に非常に軽い状態が存在すること、しかし、重粒子-中間子散乱を計算すると、共にピークとしては現れず、観測されている状態そのものではないであろうことを明らかにした。しかし、軌道部分が励起した3クォーク状態との混合を考慮すると、ラムダ粒子は、実際に観測される質量のものが得られる可能性のあることを示した。
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Research Products
(2 results)