2003 Fiscal Year Annual Research Report
銀河団中の高温プラズマにおける熱制動輻射過程の研究
Project/Area Number |
15540293
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Research Institution | Josai Junior College |
Principal Investigator |
野澤 智 城西大学女子短期大学部, 教授 (00258914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 直紀 上智大学, 理工学部, 教授 (20103939)
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Keywords | 銀河団 / プラズマ / 熱制動輻射過程 / Gaunt因子 / 相対論的効果 / Sunyaev-Zeldovich効果 / 宇宙背景放射 |
Research Abstract |
銀河団中には非常に多くの電子およびイオンがプラズマ状態として存在している。銀河団から放出されるX線の発生メカニズムとして、これらの高温プラズマ中における電子-イオンによる熱制動輻射過程および電子-電子による熱制動輻射過程が知られている。本研究では、銀河団中における高温プラズマの諸性質を理論的に考察することが目的であった。 平成15年度は、はじめに銀河団中の電子プラズマが宇宙背景放射(CMB)と逆コンプトン散乱を起こすことによって銀河団方向のCMBの温度が変化する効果(Sunyaev-Zeldovich効果と呼ばれる)に対する研究を行った。最近の観測結果によると、非常に高温の銀河団が見つかっており、そこでは相対論的な効果が大きいことが予想される。我々は、前回の研究を発展させ、非常に高温の銀河団に適用可能なSunyaev-Zeldovich効果の理論的表式を与えた。また、この結果をまとめ、欧州学会誌(Astronomy & Astrophysics)に投稿した。論文は受理され、現在印刷中である。 また、平成15年度は、銀河団中の高温プラズマにおける熱制動輻射過程に対する研究も推進した。特に、電子-電子による熱制動輻射過程に対する相対論的熱制動輻射率の定式化を行った。この過程に対する散乱断面積の表式は量子電磁力学の2次の摂動計算によって解析的に求めることができる。しかしながら、この散乱断面積を具体的に計算するには、寄与するダイアグラム数および項数が非常に多いため、高速なコンピュータによる数式処理が必要不可欠となる。主要設備として高速なパーソナルコンピュータを購入し、この散乱断面積に対する数式処理計算を行った。現在の所、ファイマンダイアグラムのトレース計算が終了し、散乱断面積に対する解析的表式を導出している。平成16年度は導かれた輻射率の表式をもとに、数値計算処理のためのプログラミングを行い、前述のパーソナルコンピュータを用いて数値計算を行う予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] N.Itoh, S.Nozawa: "Relativistic corrections to the Sunyaev-Zeldovich effect for extremely hot clusters of Galaxies"Astronomy & Astrophysics. 印刷中. (2004)
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[Publications] S.Wanajo et al.: "The r-process in supernova explosions from the collapse of O-Ne-Mg cores"The Astrophysical Journal. 593. 968-979 (2003)