2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540294
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
磯 暁 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (20242092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 一 佐賀大学, 理学部, 助教授 (80325589)
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Keywords | 行列模型 / 超弦理論 / カイラルフェルミオン / 超重力理論 / 超対称性 |
Research Abstract |
超弦理論は重力を含む素粒子の統一理論としてもっとも有望視されている理論であり多くの研究がなされてきた。重力を含む事からもわかるように、この理論は素粒子の相互作用を記述する理論であるのみならず、時空のダイナミクスを記述する理論でもある。しかしながら、現在の通常の定式化では、この時空構造のようなダイナミカルな問題を理解するのはたいへん困難とされている。この困難を解決するために提案されたのが、行列模型と呼ばれる模型である。当研究では、この行列模型のさまざまな性質、特に時空構造と超重力理論との関係、及び4次元でどのようにしたらカイラル構造をもつフェルミオンが生成できるのか、の2点を明らかにすることを目的としている。 今年度は、これらの点に関して以下の研究を行った。最初の問題に対しては、行列模型で弱い超重力相互作用を記述するために必要な頂点演算子とよばれる演算子を、超対称性の多重項として系統的に導出することを行った。これまで部分的にしか求められていなかった頂点演算子のほぼ完全な形を導出することに成功した。さらに平均場近似的な考え方に基づいて、どのような凝縮が発生するのか、それを記述するにはどういった配位を考えればよいのか、凝縮が起こった時に時空の構造がどう変化するのか、などの解析を行った。 次の問題に対しては、行列模型にギンツバーグウイルソン演算子の手法を適用し、行列模型で非自明なインデックスを定義する方法を開発した。これにより行列模型でのカイラルな構造が明らかになりつつある。さらに、2次元ファジー球面という量子的な多様体の上で、この演算子の具体系を構築し、非自明なインデックスをもつ配位を構成した。この配位は、古典的な空間で知られていたトフーフトポリヤコフ・モノポールとよばれる配位の量子化したものになっていることがわかった。さらにこれらの配位の安定性を議論し、自明な配位が不安定かして非自明なインデックスをもつ配位が自発的に生成されることを明らかにした。 これらの二点は、行列模型での時空構造やカイラル構造を調べる上で非常に重要な一歩といえ、来年度以降もこの流れに沿って研究を進めていく予定でいる。
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Research Products
(2 results)