2003 Fiscal Year Annual Research Report
Bファクトリー・リニアコライダーの為の超扁平型衝突点ビームパイプの開発
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15540297
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
片山 伸彦 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50290854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 均 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (10177214)
赤井 和憲 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教授 (10184061)
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Keywords | Super KEKB / B中間子 / 超対称性 / 衝突点ビームパイプ / Bファクトリー / Geant4 / B->Dτν / Bs mixing |
Research Abstract |
本年度は、超扁平形衝突点ビームパイプの設計のための様々なスタディを行った。始めに、ビームパイプ内側の形状を高さ1mm、幅10mmとして、ビーム方向の長さの検討を行った。実験室系では、ビーム方向に対して17度から150度の立体角を覆う、というのが、実験グループの要請であるので、それをそのまま1mmの厚さのビームパイプに適用すると、ビーム中心よりの高さは0.5mmなので、+1.5mm-0.9mmとなる。しかし加速器のビームのバンチ長は、現在のKEKBで、6〜7mm、計画中のSuper KEKBでは、約3mm程度であり、したがって、衝突点ビームパイプの長さは、少なくともその3倍以上、かつ、加速用高周波の位相の不安定性による、衝突点の移動等を考慮して、とりあえず16mmとして設計を進めることにした。次に、ビームパイプの材質と、形状、厚さ等について検討した。材質については、強度、物質量、加工性から、現在も使用している純ベリリウムを採用した。厚さについても、加工性の限界は実績から、300マイクロン程度と思われるが、形状が円柱状ではなく、平板状である事を考慮に入れて、500マイクロンとした。厚さについては、内側が真空であることを考慮して、プロトタイプ作成の前には、構造解析をする必要がある。横側については、形状および厚みを制約する事は特にないが、冷却用のチューブを通すことなどを考えて、厚さを2mmとした。これらの設計値を元に、測定器等のシミュレーションツールである、Geant4を利用して、幾つかの物理プロセスのシミュレーションを行った。まず始めに1GeV/cのミューオンのトラックをシミュレートして、r(半径)方向(横方向)、Z軸(ビーム)方向のレゾリューションを調べ、かなり広いr-Zの範囲で、期待通りレゾリューションが10~20マイクロンであることを確かめた。その後、物理プロセスとして、B中間子が、D中間子とτ粒子、ニュートリノに崩壊する過程をシミュレートし、Dの崩壊点と、τの崩壊点が分離出切る事を確かめた。更にB中間子が、D中間子と3つの荷電π中間子に崩壊する過程を調べ、BとDの崩壊点の位置間の差の長さを、その誤差で割った、significanceでカットを入れると、バックグラウンドときれいに分離できることを確かめた。これらの結果は、9月24~26日に行われた、第5回High Luminosity B Factory workshopで片山が発表した。更に、strangeクォークを含むB中間子の混合が、Bファクトリーで検出できるかどうかと、BがD中間子とτ粒子に崩壊するモードにおいて、D中間子の崩壊点と、τ粒子の崩壊点、立体再構成されたD中間子と、τ粒子の運動量(τ中間子の崩壊から出るニュートリノの運動量は、その他のコンストレイントにより同定)からB中間子の崩壊を立体再構成することが出来、予想されるバックグラウンドも十分少なく、このモードの崩壊分岐比測定できることを確かめた。この結果は、2004年1月19~22日にハワイ大学で行われた、Super B Factory workshopで片山が発表した。
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