2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540302
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上野 秀樹 独立行政法人理化学研究所, 応用原子核物理研究室, 研究員 (50281118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 義男 独立行政法人理化学研究所, 応用原子核物理研究室, 先任研究員 (30221245)
村田 次郎 立教大学, 理学部, 講師 (50360649)
旭 耕一郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80114354)
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Keywords | トランジェントフィールド / ガドリニウム / γ線核分光 / 加速器実験 |
Research Abstract |
本研究で目標とするトランジェントフィールドを用いた手法によるMg同位体の短寿命励起状態の測定を行う為には、ボーア速度を越えるビーム速度でのトランジェントフィールドの強さが十分大きいかどうかが鍵となる。しかし、この速度領域での研究はこれまでほとんど進んでいない。そこで、当該年度は、ボーア速度を越えるビーム速度でのトランジェントフィールドの測定を行った。実験は理化学研究所のAVFサイクロトロンを用いて行った。一核子当り7.5MeVのエネルギーに加速された24Mgを金及びガドリニウム薄膜から構成される二層標的に入射させ、励起した24Mgから放出される脱励起γ線をNaI検出器で観測した。ガドリニウム中の電子の偏極を300ガウスの外場でコントロールし、トランジェントフィールドの方向を変化させて測定したγ線計数率の変化からトランジェントフィールドの大きさを割り出す。標的の厚さを変えた測定を行い、ボーア速度を越える領域で、4点のデータを得る事が出来た。また、22Neビームを用いた実験データの解析を進め、低速度領域で行われた研究を基にして予想されるトランジェントフィールドのビーム速度依存性からは予言出来ない、大きなトランジェントフィールィードが発生している事が判明した。近年提唱されている理論では、トランジェントフィールドの発生機構には、強磁性体中の偏極電子とビーム粒子の電子との間に働くスピン交換型相互作用が大きく関与している事を指摘している。この理論が予言するトランジェントフィールドの速度依存性と、今回当研究で測定された結果とは一致する事が分った。
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