2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540309
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 研一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10189988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 博保 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60116069)
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Keywords | 量子リング / マイクロ波 / サイクロトロン共鳴 / 局在 / テラヘルツ発振 |
Research Abstract |
様々なサイズや配置の量子リング構造を電子線リソグラフィーと化学エッチングにより作成した。作成した2種類の量子リング構造、(1)単一量子リング構造、(2)量子リング配列構造を用いて量子リング内の電子状態を調べた。量子リング構造の特徴的な信号であるAharonov-Bohm振動が出来るだけ高温において観測できる様に可能な限り小さな単一量子リング構造を作成し測定に成功した。このような量子リング構造を用いてテラヘルツ光領域での吸収と光伝導測定から電子状態を調べることをこころみた。前年度に報告したように周波数35-140GHzのマイクロ波光伝導測定を磁場引加下で測定し、量子リングのサイズにのみ依存した新しい抵抗増大ピークを観測することができた。このピークが電子のサイクロトロン軌道がリング半径と一致した磁場位置に現われていることがサイズの異なるリング構造の実験より確認できており、リング内に局在した電子によるマイクロ波吸収に関係していると考えられる。このことより次の新しい知見を得ることができた。 a)量子リング構造を用いることで入射光のフォトンを効率的に電子系に吸収することが可能である。 b)量子リングに局在した電子と伝導に寄与する電子の間に相互作用がある。 このうち(a)の知見を用いるならばリング等の微小構造へのマイクロ波を含む高周波信号のアンテナとして量子リング構造を利用できると考えられる。アンテナ利用するための新しい複合量子リング構造を作成し測定を行いマイクロ波検出に成功している。この構造では2つのサイズの異なる量子リング構造を結合し一方のリングを流れる伝導電子へ他方のリングで吸収したフォトンが影響することを見ることが可能である。このような構造を用いるこどで微小半導体構造への効果的な高周波引加が可能となり新しい物性分野が広がることが期待できる。このような検出が可能となったため、固体素子の遠赤外からマイクロ波域テラヘルツ光素子の開発も重要と考えられる。半導体中の不純物準位を用いたテラヘルツレーザーの開発も行い発振に成功した。
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Research Products
(2 results)