2003 Fiscal Year Annual Research Report
硫化鉄での圧力誘起絶縁体-金属転移における格子振動の研究
Project/Area Number |
15540319
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 寿夫 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40250675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛利 信男 埼玉大学, 理学部, 教授 (40000848)
坂井 信彦 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60013497)
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Keywords | 高圧力 / 格子振動 / 金属絶縁体転移 |
Research Abstract |
室温・高力下でカルコパイライト(CuFeS2)は、反強磁性半導体(TN=800K)から金属状態へと約6.5GPaで変化することが知られている。その非金属-金属転移は、結晶構造の変化を伴っていることが分かっているが、高圧相での結晶構造の決定には到っていない。このように構造変態をともなう強相関電子系の金属-絶縁体転移においては、電子相間のみならず電子-格子相互作用も重要な役割を担っていると考えられる。従って、圧力下でのフォノン分散関係・状態密度を実験的に求めることは相転移を理解する上でも重要である。特に、CuFeS2においては高圧相での結晶構造モデルを考える上でも格子振動の情報は重要な知見を与えると考えられる。そこで我々は、放射光単色X線を用いた57Fe核共鳴散乱(NIS)を測定し、CuFeS2の高圧力下フォノン状態密度を求めた。 測定したNISスペクトルには、相対エネルギー・ゼロ(14.413keV)に強い非干渉性弾性散乱ピークが存在し、さらにフォノン消滅・生成が関与する非弾性散乱成分が有限の相対エネルギーの位置に観測された。Feイオンが関与するフォノン状態密度をこの非弾性成分より抽出した。そのフォノン状態密度から高圧力下での体積比熱・エントロピー等の熱理解学的変数と、無反跳分率が得られる。その結果、金属化にともないエントロピーの減少と、無反跳分率の増加が観測された。高圧力下X線回折測定から提唱されている高圧相の結晶構造モデル、NaCl構造ではFeサイトの配位数が4から6へと変化することに成り、大きなフォノン状態密度の変化が予想される。しかし、フォノン状態密度の形状の圧力依存性は僅かであり、配位数の大きな変化がないことが分かった。
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Research Products
(1 results)