2003 Fiscal Year Annual Research Report
吸着子のある微斜面の統計力学:吸着子とステップの熱的相互作用機構の解明
Project/Area Number |
15540323
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
阿久津 典子 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (40167862)
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Keywords | ステップ・バンチング / 吸着子 / 微斜面 / 密度行列繰り込み群 / マクロステップ形成 / 表面・界面の熱力学・統計力学 / ファセット形成 / 結晶の表面張力 |
Research Abstract |
平成15年度研究実績の概要 吸着子のある微斜面において、吸着子とステップの熱的相互作用機構を理論的に調べるため、restricted-solid-on-solid (RSOS)-イジング結合(RSOS-IC)模型において転送行列法による統計力学計算を行った。計算は、積波動関数繰り込み群(PWFRG,密度行列繰り込み群(DMRG)法の一種)アルゴリズムを用い、数値的に行った。 1.吸着子間相互作用が引力型の場合 吸着子の化学ポテンシャルを系統的に変えて、微斜面に関する表面自由エネルギー、吸着子被覆率・ステップ自由エネルギー、ステップ・スティフネスを詳細に求めた。その計算結果と、分子場近似計算、場の理論的計算と比較することにより、吸着子のある微斜面で、熱平衡状態においてステップ・バンチング(または、マクロステップ形成)が起こることを確立し、サーマル・ステップ・バンチングと名付けた。また、その生成メカニズムには、外場誘導型と揺らぎ誘導型の2種類あることを解明し、Phys.Rev.B誌に発表した。 2.吸着子間相互作用が反発力型の場合 ・この場合、外場誘導型のサーマル・ステップ・バンチングは生じないことを明らかにした。 ・吸着子系は、低温では2x2R45の秩序状態になり、高温では1x1の無秩序状態になる。サーマル・ステップ・バンチングは、吸着子の秩序変数揺らぎを媒介とするステップ間引力によって、吸着子の秩序-無秩序相転移線近傍で発生することを明らかにした。 ・以上の成果は、国際会議(The 7th International Conference on Atomically Controlled Surfaces, Interfaces and Nanostructures, (November 2003, Nara, Japan))や日本物理学会秋季大会(2003年9月 岡山大学)、年次大会(2004年3月 九州大学)で口頭発表しており、論文投稿準備中である。
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Research Products
(1 results)