2003 Fiscal Year Annual Research Report
三角格子イットリウム鉄複酸化物YFe_2O_4におけるポーラロン逐次相転移の研究
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15540324
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
池田 直 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門I・動的構造チーム・チームリーダー, 主幹研究員 (00222894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 茂生 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (20251613)
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Keywords | RFe2O4 / YFe2O4 / LuFe2O4 / 電荷秩序 / 混合原子価 / 三角格子 / フラストレーション / 強誘電体 |
Research Abstract |
三角格子混合原子価系であるYFe_2O_4について、放射光並びに透過電気顕微鏡により、逐次相転移の精密観察を行うことを目標に、酸素欠損をきわめて少なくしたYFe_2O_4の微少試料を精密に合成する手法を開拓した。本手法は酸素分圧を精密に制御した赤外線加熱炉によって、微少粉末試料を作成する。これにより短時間のうちに少量ながら酸素欠損制御を行った試料を生産することが可能になり、低温透過電子顕微鏡とX線観察との組み合わせにより、最適な試料作成条件を決定することが可能になった。本手法は、2004年3月に行われた日本物理学会(28aPS-64:三角格子混合原子価系YFe_2O_4の微少試料の作成)で発表した。 YFe_2O_4と同形物質であるLuFe_2O_4について、330K以下で発現している超格子構造は電荷秩序構造に起源があることを、共鳴X線散乱により確認した。YFe_2O_4に見られる超構造も電荷秩序に起源があることがわかる。これらの結果は、2003年夏に行われた国際会議(European Meeting of Ferroelectricity, U.K.Cambridge),(International Conference of Magnetism, Italy, Roma)ならびに2003年1月の日本放射光学会で発表した。 この共鳴散乱の結果は、RFe_2O_4が電荷の秩序配列を起源とする電気分極を持つことを証拠づける。誘電分散の測定、ならびにメスバウアー効果の測定の結果と照らし合わせて、この物質が新奇な強誘電体であることが結論され、その結果を現在専門誌に投稿している。 YFe_2O_4の低温電子顕微鏡観察とLuFe_2O_4の高分解能放射光X線振動写真観察により、この物質の電荷秩序型誘電分極が、単文域領域ではらせん構造を持つことを示唆する結果を見いだした。この結果は論文公表準備中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] N.Ikeda, H.Ohsumi, M.Mizumaki, S.Mori, Y.Horibe, K.Kishimoto: "Frustration and Ordering of Iron Ions on Triangular Iron Mixed Valence System RFe_2O_4"J.Mag.Mag.Mat. in press.
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[Publications] S.Nakamura, S.Shimomura, N.Ikeda, M.Mizumaki, H.Ohsumi, S.Nimori, T.Takeuchi, K.Itoh: "Magnetic field induced phase transition in distorted perovskite Eu_<0.6>Sr_<0.4>MnO_3"J.Mag.Mag.Mat.. in press.
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[Publications] N.Ikeda, S.Mori, K.Kohn: "Structure Transition and Charge Competition on YFe_2O_4"Ferroelectrics. 286. 175-184 (2003)
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[Publications] H.Kimura, H.Goka, M.Fujita, Y.Noda, K.Yamada, N.Ikeda: "Synchrotron x-ray diffraction study of a charge stripe order in 1/8-doped La_<1.875>Ba_<0.125^->_xSr_xCuO_4"Phys.Rev.B. 67. 140503 (2003)
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[Publications] Y.NODA, Y.FUKUDA, H.KIMURA, I.KAGOMIYA, S.MATSUMOTO, K.KOHN, T.SHOBU, N.IKEDA: "Review and Prospect of Ferroelectricity and Magnetism in YMn_2O_5"J.Korean Phys.Soc. 42. S1192-S1195 (2003)
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[Publications] I.Kagomiya, S.Matsumoto, K.Kohn, Y.Fukuda, T.Shobu, H.Kimura, Y.Noda, N.Ikeda: "Lattice Distortion of YMn_2O_5 at Ferroelectric Transition"Ferroelectrics. 286. 167-174 (2003)