2003 Fiscal Year Annual Research Report
スピン揺らぎ超伝導のdHvA効果による伝導電子散乱の研究
Project/Area Number |
15540327
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
落合 明 東北大学, 極低温科学センター, 助教授 (90183772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 晴善 東北大学, 極低温科学センター, 教授 (60302246)
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Keywords | 遍歴電子協磁性超伝導 / スピン揺らぎ / dHvA効果 / 散乱緩和時間 / ZrZn_2 / UGe_2 / p波超伝導 / SCR理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、スピン揺らぎを媒介とすると考えられている超伝導物質のドハース・ファンアルフェン(dHvA)効果から、伝導電子の散乱緩和時間の詳細を調べ、スピン揺らぎと散乱の関係を明らかにすることである。本年度はZrZn_2の単結晶試料を育成し、dHvA効果によって決定されるdHvA周波数や散乱緩和時間の角度変化および、磁場変化、圧力変化を測定した。 ZrZn_2はZnの蒸気圧が高いため、結晶育成が困難であるが、本研究では、密封タングステン坩堝を用いたブリッジマン法により、残留抵抗比60、dHvA観測可能な高純度単結晶試料を得ることができた。 得られた試料を用いたdHvA効果の実験からは、今まで知られていなかった新しい強磁性相を高磁場で見出した。圧力-磁場相図を作成し、この相図から、ZrZn_2と同じ遍歴電子強磁性超伝導体として知られているUGe_2の磁気・超伝導相図との相似性を指摘した。遍歴電子強磁性超伝導体で提唱されている微視的理論モデルは強磁性の消失する臨界圧力近傍での揺らぎめ振る舞いに焦点が当てられているが、本研究の結果から、むしろ重要なのは、新たに見出された強磁性相の臨界圧力近傍の振る舞いであることを示唆することができた。本研究の主目的である、揺らぎと超伝導の関係を探る上で非常に示唆的な実験結果が得られたと考える。 散乱緩和時間については、角度依存性、磁場依存性、圧力依存性のいずれも奇妙な振る舞いを観測し、このような新奇な超伝導体では散乱機構に異常が生ずることを明らかにした。 なお、今年度得られた成果はPhysical Review Lettersに投稿中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Yamaizu et al.: "Uniaxial pressure effect on the magnetic phase diagram and Fermi-surface properties of CeB_6"Physical Review B. 69. 014423-1-014423-10 (2004)
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[Publications] S.Nakamura et al.: "Field-induced transition from non-Fermi-liquid state to heavy Fermion state in Ce_<0.5>La_<0.5>B_6"Physical Review B. 68. 100402-1-100402-4 (2003)
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[Publications] J.Nakamura et al.: "Electronic structure of B 2p sigma and p pi states in MgB_2, AlB_2, and ZrB_2 single crystals"Physical Review B. 68. 064545-1-064515-5 (2003)
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[Publications] M.Endo et al.: "Electronic structures of PrPb_3 in the para-and antiferroquadrupolar phases"Acta Physica Polonia B. 34. 1031-1034 (2003)
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[Publications] M.Endo et al.: "Phase diagram and dHvA effect of PrPb_3 under pressure"Acta Physica Polonia B. 1027-1030 (2003)