2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540328
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高橋 三郎 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60171485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 禎通 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (60005973)
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Keywords | スピン注入 / スピン流 / スピン軌道相互作用 / スピンホール効果 / 非局所スピン伝導 / 磁壁 / 電流駆動による磁壁移動 / 磁壁メモリー |
Research Abstract |
(1)非磁性金属(N)中における伝導電子の不純物によるスピン軌道相互作用の強さを評価する方法を提案した.Nのスピン拡散長λ_Nと抵抗率ρ_Nの積をとり、スピン軌道散乱に対してフェルの黄金則を用いると、λ_Nρ_N〜R_K/(η_<SO>k_F^2)の関係が得られる.ここに、R_Kは量子抵抗,η_<SO>はスピン軌道相互作用の結合定数,k_Fはフェルミ波数である.この関係式は,スピン軌道相互作用の結合定数の新しい評価法を与える.いくつかのグループで得られたCuやAlに対するλ_Nρ_Nの実験値を用いると,η_<SO>=0.01〜0.04と評価される.さらに、非局所スピン注入法を用いたスピンホール効果を提案した。N中に発生する純粋なスピン流は,スピン軌道散乱(主としてskew散乱)によって,η_<SO>とスピン流に比例した異常ホール効果を引き起こす.上記のスピン軌道相互作用の結合定数の値を用いると,非局所ホール抵抗の値は〜0.1mΩと見積もられる.AlやCuを用いた非局所スピンホール素子を作成すれば,非局所スピンホール効果の観測が充分可能である. (2)スピン流と磁壁の相互作用を記述する微視的な理論を構築し,電流による磁壁移動の運動方程式を提案した.流体力学で用いられている物質微分の概念を導入して,強磁性共鳴において用いられてきた従来のGilbert緩和項の問題点を修正した.さらに,エネルギー保存に対する考察から,運動する磁壁が外部回路に対して電圧を生じることを明らかにした.これらの理論的定式化は,スピン角運動量の保存に立脚しており,伝導電子および局在電子の双方に対し量子論的取り扱いとなっている.理論解析の結果を用いて,磁性ナノ細線中の磁壁に対して準安定箇所(くさび状のくびれ)を導入したナノ構造磁気メモリー素子の提案を行った.細線に電流を入力することにより,磁壁が2つのくびれを移動し,位置による2状態間遷移を実現する(書き込み).また,磁壁が移動する際に生じる電圧によって,磁壁の位置状態を電気的に検出する(読み出し).
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Research Products
(9 results)