2003 Fiscal Year Annual Research Report
極低温で異常熱電現象を示す化合物の伝導および熱特性マルチ測定
Project/Area Number |
15540335
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
桑井 智彦 富山大学, 理学部, 助教授 (10251878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光田 暁弘 富山大学, 理学部, 助手 (20334708)
水島 俊雄 富山大学, 理学部, 助教授 (50135000)
石川 義和 富山大学, 理学部, 教授 (20143836)
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Keywords | 精密比熱測定 / 非フェルミ液体 / 熱電能 / 強相関電子系 / 極低温圧力下電気抵抗測定 / 単結晶育成 / 極低温圧力下比熱測定 / 物質探索 |
Research Abstract |
本研究の本年度研究目的として掲げたものは1.新設装置を用いた測定系の整備,2.既存設備を用いた強相関電子系の磁性を調べるための種々の測定,3.純良多結晶・単結晶の作成と評価と大別される。このうち,1の測定系の整備に関しては,新設装置の納入時期がずれ込み当初の予定より進行が遅れがちであるが,現在希釈冷凍機を用いた極低温領域の熱電能と熱伝導を測定するための測定系の立ち上げを鋭意行っている。熱電能測定系に関しては,現有の装置であるが,トラブルが若干生じていたためその修理を行っていたが,間もなく極低温熱電能測定が再開される見込みである。 2の既存設備を用いた強相関電子系の磁性研究に関しては,CeNi_2Ge_2の磁気比熱を0.4K〜200Kの広い温度範囲で精密に測定し,これまで得られなかったこの物質の結晶場分裂状態を明らかにし,加えて極低温で示す非フェルミ液体のメカニズム解明の糸口となり得るふるまいを観測できた。また,(Yb_<0.8>Y_<0.2>)InCu_4の圧力下の極低温電気抵抗を測定し,2K近傍で圧力誘起強磁性の発現の兆候を捉えることができた。これら物質をはじめとした研究成果は現在印刷中である学術論文に掲載される。特に上記Yb化合物では,現在0.5K〜10Kの範囲の圧力下比熱の測定が進行中であり,間もなくその結果が得られ,電気抵抗で観測された強磁性がこの物質の本質的特性であることを明確にすることができると期待される。さらに1における交流電気抵抗測定が行われるようになると,現在の感度でははっきり捉えられなかった微細な異常がクリアに観測することが可能となるため,これを用いた測定の一刻も早い開始を目指したい。 3の純良試料の作成に関しては,当グループは以前より安定した技術を保持しており,引き上げ法による単結晶育成を始め,フラックス法を用いたYb系スクッテルダイト化合物やEu系価数揺動化合物の単結晶作成を試みている。また希土類を含む新物質の探索も平素より継続して行っており,近々その成果も出てくるものと期待される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 桑井 智彦: "Specific heat of CeNi_2Ge_2 in wide-range of temperatures"J.Magn.Magn.Mater. (掲載予定). (2004)
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[Publications] 石川 義和: "Magnetic properties of single crystals of RCoIn_5 (R=Tb,Dy,Ho,Er,Yb)"J.Magn.Magn.Mater. (掲載予定). (2004)
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[Publications] 水島 俊雄: "High field magnetization of TbNiAl_4"J.Magn.Magn.Mater. (掲載予定). (2004)
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[Publications] 光田 暁弘: "Transport properties of Yb_<0.8>Y_<0.2>InCu_4 under high pressure"J.Magn.Magn.Mater. (掲載予定). (2004)