2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540339
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 隆介 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60221751)
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Keywords | 超伝導 / 重い電子系 / CeCoIn5 / FFLO状態 / 超流動 / エアロジェル / ヘリウム3 / 長距離秩序 |
Research Abstract |
平成16年度は、(1)重い電子系CeCoIn5にてその存在が確認されつつあるFulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov(FFLO)状態に関わる理論、(2)エアロジェル中の超流動3Heにおける高圧相(A-like相)を決定する理論、を中心に研究を進めた。いずれも、量子凝縮系における中間相の問題で、本研究課題に属する題材である。(1)は、前年度に行なったパウリ常磁性の強い超伝導渦糸状態の理論の延長で、前年度の結果がCeCoIn5における高磁場Hc2での不連続的転移、FFLO渦糸状態と通常の渦糸格子間の2次転移とその転移温度の磁場依存性、といったその相図に関する実験事実をほぼそのまま説明できることを踏まえて、今回FFLO転移線の面内磁場方向依存性からこの物質の対状態対称性、つまり超伝導ギャップのノード方向を理論的に推論した。この成果は、実験的に熱伝導と比熱(状態密度)の測定から得られたノード方向に関する情報が矛盾しておりこの物質の対状態に関して論争中であることから、非常にタイムリーな研究でもある。この成果は比熱測定の結果を支持するもので、Phy.Rev.B誌で発表されている。(2)は、エアロジェルが乱れの効果の役割を果たすことにより、液体3Heにおけるp波超流動状態が乱れの効果により長距離秩序を失うか、対状態自体が変更を受けるか、といった凝縮相の質的な変更に関わる題材であるため、ヘリウム物性の分野でここ数年論争の的になった題材である。自由エネルギーの計算などから、エアロジェル中3HeのA-like相と呼ばれる高圧超流動相はバルク3Heと同じABM対状態をもった、ただし超流動秩序自体は準長距離の、グラス相になっていることを突き止め、実験的相図もこの理論の結果とコンシステントであることを示した。この成果は国際シンポジウムで報告され、論文は現在投稿中である。上記以外にも、超伝導渦糸状態の相図に関わる研究成果がPhys.Rev.B誌にて報告された。
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Research Products
(3 results)