2003 Fiscal Year Annual Research Report
低次元有機化合物におけるアンコンベンショナル密度波の検証
Project/Area Number |
15540349
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川又 修一 大阪府立大学, 工学研究科, 講師 (50211868)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 勝 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (90204495)
石田 武和 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (00159732)
|
Keywords | 電子スピン共鳴 / 温度制御 / LabVIEW / 自動測定 / 有機化合物 / BEDT-TSF分子 / 金属絶縁体転移 / 超伝導 |
Research Abstract |
空洞共振器を用いた電子スピン共鳴測定装置では、温度が不安定であると共振周波数が不安定になるため、信号のノイズが増大する。そこで、既設のKuバンド(15GHz)帯、電子スビン共鳴クライオスタットに、温度コントローラー(Cryocon社Model 32B-U)を導入し、ノイズの低減をはかった。さらに測定出力であるロックイン増幅器のアナログ出力を、直流電圧を0.1μVの精度で測定可能であるディジタルマルチメーター(Agilent Technologies社 Model 34401A)に入力することにより、GPIBインターフェースをとおしてデータをコンピューターに取り込むことができるようにした。また電磁石に直流電流を流し磁場を発生するための電源を、既設の定電圧発生装置(ADVANTEST社 TR6142)をとおして、GPIBインターフェースによりコンピューターで制御できるようにした。さらに所属学科で無償学科ライセンスを受けているソフトウェア(ナショナルインスツルメンツ社LabVIEW)を用いて測定プログラムを作成し、測定を自動化した。その後、標準試料DPPHをセットし、動作チェックを行った。 この装置を用いて、有機化合物λ-(BEDT-TSF)_2Fe_<1-x>GaxCl_4系(x=0,0.4)の測定を開始した。この系では、アニオン層に含まれるFe原子とGa原子の割合を制御することにより、基底状態が系統的に変化する。x=0の物質は、室温から9Kまでの温度領域では常磁性金属であり、9K以下の温度領域では反強磁性絶縁体となる。xの増加とともに反強磁性を伴った金属絶縁体転移の温度は減少し、xが0.5以上になると超伝導が出現するようになる。今後、超伝導相と絶縁体相の両方が現れるx=0.65の物質、および超伝導のみが観測されるx=1の物質について測定をすすめ、この系の低温における電子状態を決めている機構について解明していく予定である。
|