2003 Fiscal Year Annual Research Report
極端条件下における電荷・軌道相関と相分離のX線散乱による研究
Project/Area Number |
15540350
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
下村 晋 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (00260216)
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Keywords | マンガン酸化物 / X線散乱 / 巨大磁気抵抗効果 / 金属絶縁体転移 / 磁場中X線回折 / 高圧X線回折 / シンクロトロン放射光 / 電荷整列 |
Research Abstract |
本研究では、ペロフスカイト型マンガン酸化物を中心として、電子格子相互作用を通した電荷・軌道の相関が、特異な物性発現に果たす役割を、X線散乱により詳細に調べることを目的とする。本年度は特に、磁場中や圧力下といった極端条件下における構造変化について研究をおこなった。主な結果は以下のとおりである。 1.ペロフスカイト型マンガン酸化物の圧力誘起相転移 電荷軌道整列を示す物質について、高圧低温単結晶X線回折実験を行った。その結果、従来から知られていた電荷および軌道の整列のパターンとは異なる新たな電荷軌道の秩序相が、圧力により誘起されることが明らかとなった。さらに、高圧下で電荷軌道が無秩序となる相が誘起されることが分かった。これらの結果のまとめとして、圧力温度相図を作成し、高圧下における相の安定性を明らかにした。 2.ペロフスカイト型マンガン酸化物の磁場誘起構造変化 磁場の印加により常磁性絶縁体相から強磁性金属相へと転移する物質について、放射光を用いて回折実験を行い、格子定数の磁場依存性や、絶縁体相と金属相の構造の違いを調べた。その結果、金属相への転移は結晶学的な対称性の変化を伴わないが、原子パラメータが格子歪みを緩和するように変化していることがわかった。 3.放射光を用いた磁場中X線回折 磁場中でのX線回折実験を放射光を用いて行い、FeCl_22H_2OやCeB_6の磁気散乱や超格子の磁場変化を測定し、一次磁気転移の共存や軌道秩序について調べた。
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[Publications] Y.Narumi, K.Katsumata, T.Nakamura, Y.Tanaka, S.Shimomura, T.Ishikawa, M.Yabashi: "The coexistence of magnetic phases at the first-order phase transition of a metamagnet FeCl_22H_2O studied by x-ray diffraction"Journal of Physics : Condensed Matter. 16. L57-L63 (2004)
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[Publications] S.Nakamura, S.Shimomura, N.Ikeda, M.Mizumaki, H.Ohsumi, S.Nimori, K.Itoh: "Magnetic Field Induced Phase Transition in Distorted Perovskite Eu_<0.6>Sr_<0.4>MnO_3"Journal of Magnetism and and Magnetic Materials. (in press). (2004)
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[Publications] Y.Tanaka, U.Staub, Y.Narumi, K.Katsumata, V.Scagnoli, S.Shimomura, Y.Tabata, Y.Onuki: "Non-resonant X-ray Bragg diffraction by CeB_6"Physica B. (in press). (2004)