2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリ金属吸蔵ゼオライトにおける新規電子物性探索
Project/Area Number |
15540353
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
五十嵐 睦夫 群馬工業高等専門学校, 一般教科(自然科学系), 准教授 (60259819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小平 哲也 産業技術総合研究所, 界面ナノアーキテクトニクス研究センター, 主任研究員 (40356994)
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Keywords | ゼオライト / アルカリ金属 / 磁性 / NMR / ナイトシフト / フェルミ接触相互作用 / 吸着 / T_2 |
Research Abstract |
研究期間中盤でカリウムを吸着させたFAU型ゼオライトにも新たな磁性転移現象が発見され、これまでのLTA型に加えて今年度の研究対象とした。この新たな系はLTA型のものと違い、試料中にNaが含まれていても磁性転移を示す。γ値が大きくNMR感度が高い^<23>Na核がアルカリ金属クラスターに対する新たなプローブとして加わった。 スーパーケージあたり7.1個のカリウムが吸着されたFAU型(フェリ磁性転移温度は6K)では、ナイトシフトとみなせる成分が^<23>Na核のNMRスペクトルに観測された。一方、^<27>Al核はシフト成分を示さなかった。これは、Al原子のサイトがあるフレームワークが磁性を示す電子の存在領域と分離していることを示す。以上の研究成果は、磁性国際会議(ICM2006)にて報告するに至り、その内容は学術雑誌に論文として掲載された。なお、スーパーケージあたり7.7個のカリウムを吸着したFAU型(同転移温度は6K)においても同様な結果が得られた。両者の比較については論文発表の予定にしている。 一方、スーパーケージあたり9.0個程度吸蔵(飽和吸蔵)のFAU型(磁性転移なし)においては、7.1および7.7の試料よりも数倍大きいシフトを示す成分が^<23>Na核に対して新たに観測された。その大きなシフト成分は、クラスター内での結合の度合いがより強くなったことの現れであると思われる。そして、^<27>Al核については高周波数側へシフトする成分を含んだ非対称なスペクトル形状が観測された。これは、Si/Al=1.5のLTA型において昨年度報告したのと同様に、磁性を担う電子の波動関数がケージのフレームワークにまで達した結果であると解釈している。その結果は現在、投稿準備中である。なお、脱水したLTA型ゼオライトのスペクトル上でのT_2分布に関して従来取り組んできた研究成果は、学術雑誌に論文として掲載された。
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Research Products
(3 results)