2004 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム磁場中のスピン系及びフェルミオン系における強い乱れの効果
Project/Area Number |
15540359
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
福井 隆裕 茨城大学, 理学部, 助教授 (10322009)
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Keywords | 乱れた系 / くりこみ群 / 二重交換模型 / 非線形拡散方程式 / チャーン数 |
Research Abstract |
概略: 本研究課題は、「乱れた系」において、従来の弱い乱れを仮定した摂動的方法を改良し、強い乱れの効果を取り入れた一般論を開発し、具体的な模型に適用することである。この目的のために次の2つの課題を平行して行うという計画を当初たてた。 (a)自然な理論の定式化。(b)現実的な格子模型への適用。 具体的な成果: 本年度は「乱れた系」に関する新たな研究に着手した。巨大磁気抵抗効果により注目を集めているマンガン酸化物において、スピン波励起に異常が観測され興味を集めていた。この異常を、二重交換模型での乱れの効果から説明した数値計算に興味を持ち、これを理論的に解明した。 1.従来の摂動での解析を行った結果、異常の兆候が見えた。 2.レプリカ法を用いた解析。従来の弱い乱れの効果を越えた非摂動的解析。異常を明確に出すことに成功した。 これと同時に非線形拡散方程式に対するくりこみ群の応用の研究を行った。前年度、上の概略で述べた「強い乱れの効果」の解析において、我々は、乱れたディラック・フェルミオン模型のくりこみ群方程式が、KPP方程式という非線形拡散方程式に書き換えられる事を示し、その解析を行った。KPP方程式の厳密解を用いて解析を行ったが、不十分であった。今年度は、この非線形拡散方程式そのものを、くりこみ群の立場から解析することを試みた。その際、従来の摂動的くりこみ群ではなく「正確なくりこみ群(exact renormalization group)」が大変有効であることを示した。これに関しては現在、論文を執筆中である。 また、量子ホール効果に関係して2次元強磁場中の電子系のコンダクタンスの新しい計算方法を提案した。今後は乱れの効果を取り入れていく予定である。
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Research Products
(4 results)