2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540363
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
国場 敦夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70211886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾角 正人 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (70221843)
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Keywords | 可積分系 / 可解格子模型 / ヤン・バクスター方程式 / ベーテ仮説 / 量子群 / 結晶基底 / 超離散 / 箱玉系 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は二つある。 第一の成果はKerov-Kirillov-Reshetikhin(KKR)全単射の頂点作用素による定式化を達成したことである。KKR全単射は、パスとリッグド配置の間の1対1写像である。 前者は局所スピンの一次元配列であり、後者はベーテ仮説におけるストリングの情報をラベルする組み合わせ論的対象物である。KKR全単射は古典制限1次元状態和のフェルミ公式を証明する際の要となる。その定義はパスとリッグド配置を用いた純粋に組み合わせ論的なアルゴリズムによるもので、その表現的な意味は長年謎であった。 本研究では量子群の結晶基底の同型である組み合わせRだけを用いてKKR全単射を再構成することに成功した。これにより表現論的な解釈が与えられ、付随するソリトンセルオートマトンの順・逆散乱写像(頂点作用素)であることが明らかにされた。A型以外の非例外型の場合にも同様の予想を得た。 これらの結果は論文として学術誌に投稿され、掲載が決定している。 第二の成果は周期箱玉系を拡張し、周期、状態数の予想を得たこと、最も基本的な場合に逆散乱法により初期値問題を解き、予想を全て解決したことである。 量子群の結晶基底から構成されるソリトンセルオートマトンは最も典型的なA型の場合に箱玉系といわれる。周期的境界条件で箱玉系を定式化することは非自明であり、周期や状態数など、有限状態系ならではの興味深い性質が生じる。本研究では非例外型の結晶基底に付随する周期箱玉系を定式化した。A型の場合には最も一般的な系と与えた。これらについてq=0のベーテ仮説を応用し、周期と状態数の明示公式の予想を得た。A型で最も基本的な場合には逆散乱法により初期値問題の解を得て、全ての予想を証明した。 これらの成果は3編の論文になり、第一報はすでに出版され、第2報は国際会議録に掲載決定し、第3報は投稿中である。
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Research Products
(3 results)