2005 Fiscal Year Annual Research Report
ペロフスカイト型酸化物の量子効果による物性と相転移の理論
Project/Area Number |
15540367
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松下 栄子 岐阜大学, 工学部, 教授 (20183105)
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Keywords | ペロフスカイト酸化物 / 相転移 / 量子効果 / フォノン / リラクサー / 高温超伝導 / プロトン伝導 |
Research Abstract |
ペロフスカイト型酸化物は酸素八面体の積層構造を基本とし、関連した構造をもつ一連の酸化物には、強誘電性から超伝導性に至るさまざまな伝導度や物性が見られる。そこで、内在する量子効果に注目し、構造に特有な種々のフォノンが媒介する相転移について、解析理論により研究した。 (1)高温超伝導に関しては、最近注目された角度分解光電子分光(ARPES)の実験からLOフォノンの役割を考慮することにより、実空間表示を用いたT_cのBCS拡張式を導出した上で、T_cの酸素同位体効果を統一的に説明することに成功した。このことから高温超伝導のメカニズムをほぼ絞り込むことができ、低温物理国際会議で発表した(2005.8)。 (2)リラクサー探索に関しては、小型大容量コンデンサーや圧電素子への応用のため、Pbを含まない物質探索が急務だが、その発現機構やリラクサー特性の定義化、グラスとの相異等を理論的に明確にすることができた。静的特性として、X線散漫散乱の微視的理論から、また動的特性として、NMR-NQRスペクトルの微視的理論から、それぞれグラスと明確に異なるリラクサー特性を導いた。低温側で大きな周波数依存性をもつ誘電特性も証明でき、リラクサーは理論的にほぼ解明できた。さらに、モルフォトロピック濃度相境界についても、現象論で逐次相転移やPb系酸化物の特異性を証明する過程で説明することができ、学会発表を予定している(2006.5)。 (3)量子常誘電性に関しては、(1)の成果をふまえ、酸素の振動が作るTOフォノンの役割を誘電性相転移に応用することにより、常誘電性-強誘電性の切替え現象を統一的に説明する理論を作成中である(2006.5国際シンポジウム発表予定)。 (4)プロトン伝導に関しては、リチウム伝導と対比し、動くイオンの量子効果の有無、酸素八面体の積層を頂点接触型か辺接触型かの違いで統一的に説明し、国際会議で発表予定である(2006.4)。
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Research Products
(4 results)