2003 Fiscal Year Annual Research Report
n次元空間における拡散律速凝集体のフラクタル次元の数値解析と統計力学的意味づけ
Project/Area Number |
15540373
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
本庄 春雄 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (00181545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桂木 洋光 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助手 (30346853)
坂口 英継 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (90192591)
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Keywords | 拡散律速凝集体(DLA) / フラクタル / 非線形・非平衡系の統計力学 / 散逸構造 / Tsallis統計力学 / 拡散場中の形態形成 |
Research Abstract |
拡散律速凝集体が成長する空間次元とフラクタル次元の関係を調べるため、2次元空間における拡散律速凝集体においてランダム・ウォークが拡散律速凝集体に付着する確率分布を詳細に調べた。主な成果は以下の通りである。 1.付着確率分布は以前報告されていたようなガウス分布ではない。拡散律速凝集体のサイズ(粒子数)が小さい場合はガウス分布的であるが、サイズが大きくなるにつれて中心側にテイルを引く非対称な分布になる。 2.1.の結果を踏まえ拡散律速凝集体の内側と外側を分けて調べた結果、内側のfrozen zoneはポアソン分布的であり、外側のactive zoneではガウス分布的である。しかし、frozen zoneとactive zoneの境界は通常考えられている境界よりも中心側にある。 3.frozen zoneとactive zoneの全体にわたって、凝集体の粒子数1個当たりの付着確率分布はベキ則分布でフィッティングすることも可能であるが、その指数が7ぐらいという大きな値になり物理法則としては疑問がある。 4.一般に、ランダム・ウォークの存在確率はガウス分布となるが、ランダム・ウォークが構造物に付着する場合はガウス分布を拡張したTsallis分布になることが知られている。そのズレを表す量がqであり、q=1がガウス分布を意味する。そこで、付着確率分布についてTsallis分布でフィッティングすると、qは1.02ぐらいで、通常、Tsallis分布で議論されている問題より非常に小さいことが判った。 以上を踏まえて、今後は付着確率分布の物理的意味を明かにして本研究課題の解明を目指したい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Katsuragi: "Asymptotic function for multigrowth surfaces using power-law noise"Phys.Rev.E. 67. 011601-1-011601-4 (2003)
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[Publications] H.Katsuragi: "Scaling of impact fragmentation near the critical point"Phys.Rev.E. 68. 046105-1-046105-6 (2003)
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[Publications] S.Miyazaki: "Statistic properties of the radial growth probability distribution for diffusion-limited aggregation"Proceedings of the 5nd Cross Straits Symposium on Materials, Energy and Environmental Sciences. CSS5. 141-141 (2003)