2004 Fiscal Year Annual Research Report
内陸地震の震源域直下に見いだされた地震波反射体の内部構造の研究
Project/Area Number |
15540398
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海野 徳仁 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30004477)
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Keywords | 反射波 / 地震波 / 内陸地震 / 地殻流体 / 活断層 / 東北日本 / 上部地殻 / 下部地殻 |
Research Abstract |
1998年9月15日に仙台市愛子付近で発生したM5.0の地震の前震や余震の観測波形に,顕著な反射S波が記録された.それらの走時データを用いて,インバージョンで推定した反射面は,本震の震源域の直下の深さ約15-21kmの範囲で,北北東に約27度で傾き下がった分布を示す. 地震波反射体内部の物性を知るためには,反射P波および反射S波の情報が重要である.反射波と直達波のスペクトル振幅比の周波数に対する変化は,地殻内部と反射体内部のインピーダンス比や反射体の層厚に依存する.本研究では,反射S波と直達S波のスペクトル振幅比と,反射P波と直達P波のそれとを同時に用いて,反射体内部のS波速度,P波速度および層厚を推定した.反射体の理論反射係数はReflectivity法で計算した.S波とP波を用いて独立に推定した層厚は90mおよび101mとなり,反射体は100m程度の薄い層であることがわかった.また,反射体内部のP波速度およびS波速度は,周囲の地殻に比べて,45%および29%程度に減少していることが明らかとなった. 観測された反射体内部の地震波速度の低下率から,クラックが一様ランダムに分布している複合物質のモデルを用いて,クラック内部の物性を検討した.複合物質の巨視的な弾性定数は,New Self-Consistent法により求めた.母岩が花崗岩相当,クラック内に溶融岩相当の物性定数が存在する場合と,クラック内に常温の水が存在する場合について,理論的な地震波速度の実現範囲を計算して,観測値と比較した.その結果,水が満たされたクラックのモデルが,観測された反射体内部の地震波速度の低下率を説明できた.このとき,クラックのアスペクト比は0.01程度となる. 本研究により,地震波反射体は100m程度の薄い層であり,その内部には水(地殻流体)が存在していることが明らかとなった.
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Research Products
(2 results)