2004 Fiscal Year Annual Research Report
広帯域地震波の散乱現象の解析に基づく地球の不均質構造の研究
Project/Area Number |
15540399
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 春夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80225987)
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Keywords | 地球内部構造 / 地震波 / 不均質 / 散乱 |
Research Abstract |
弾性波伝播媒体としての固体地球の不均質構造解析を目的として,地震学的手法に基づく以下の3つの研究を実施した. (a)リソスフェアの短波長不均質構造の推定:ランダム媒質におけるエンベロープ形状を初動からコーダまで統一的に説明するモデルを構築することができた.リソスフェアの不均質構造に起因する散乱によって微小地震S波の主要動継続時間と振幅減衰を定量的に説明することを可能にした.ガウス型スペクトルを持つ2次元ランダム弾性媒質におけるベクトル弾性波のエンベロープ形成の研究を開始した.マルコフ近似を基礎として新たに開発した理論は,差分法によって計算した波形のエンベロープを定量的に説明することができることを示した.四国・中国地方ならびに本州中央部においてレシーバ関数解析に基づく構造解析を行い,モホ面と沈み込む海洋性プレートの詳細な形状を明らかにした. (b)中周期遠地地震のS波のエンベロープ解析に基づくマントルにおける散乱特性の推定:世界中に配置されたIRISの観測網によって記録された地震波記録でScS相の着信前後でのコーダ形状が観測点によって異なることを解析から明らかにし,マントル中の散乱の強さが場所によって異なることをらかにした. (c)地球を周回するレーリー波のエンベロープ解析に基づく長波長の散乱特性の推定:ランダム不均質な半無限構造を伝播するレーリー波のエンベロープの理論的なシミュレーション方法の開発に取り組んだ.表面波と実体波の変換散乱の素過程を明らかにし,エンベロープ形成のモデル化の基礎を確立した.
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Research Products
(4 results)