2004 Fiscal Year Annual Research Report
低温消磁・交流消磁実験による斜交非履歴性残留磁化理論の構築
Project/Area Number |
15540407
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
綱川 秀夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40163852)
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Keywords | ARM / 岩石磁気 / 古地磁気 / SD / MD / 保磁力 / 低温消磁 / 交流消磁 |
Research Abstract |
古地磁気学において頻繁に利用されている非履歴性残留磁化(ARM)は、通常、交流磁場とバイアス直流磁場を平行にして試料に与えている(平行ARM)。本研究では、直流磁場が交流磁場と直交あるいは斜交するARM(直交ARMあるいは斜交ARM)を理論的かつ実験的に解明し、その応用をはかることを目標とする。本年度は直交・斜交ARMの単磁区磁性粒子試料の測定(試料、MD粒子成分が20-30%ある火山溶岩)とそのモデル化を行った。 (1)バルク平行・直交・斜交ARM強度 ・比例則の成立:バルクARM∝外部直流磁場H(0-100μT) ・平行ARM>斜交ARM>直交ARM。 ・斜交ARMの加法性 OARM(AF;DC1,DC2;0,Hcmax)=OARM(AF;DC1,DC2;0,Hcmax)+OARM(AF;DC1,DC2;0,Hcmax)AF:交流磁場、DC1:コイル1による直流磁場、DC2:コイル2による直流磁場Hcmax:最大保磁力(=AF) (2)保磁力スペクトル 交流消磁(タンブラーの不使用)により、0-140mT保磁力成分を測定した。 ・斜交ARMの加法性 OARM(AF;DC1,DC2;Hc1,Hc2)=OARM(AF;DC1,DC2;Hc1,Hc2)+OARM(AF;DC1,DC2;Hc1,Hc2)Hc1,Hc2:Hc1<Hc<Hc2の保磁力成分 ・ARM消磁曲線・獲得曲線の同一性 OARM(AF;DC1,DC2;0,Hc1)=OARM(Hc1;DC1,DC2;0,Hc1) ・方位:LTD成分∝外部直流磁場Hであるが、LTメモリは、高保磁力側でより90°に近づく。 これらの主な性質は、形状磁気異方性SDの磁気ポテンシャルが、直交ARMの状況ではよりTRMに近いことから説明できる。また応用としては、火山岩のTRM/OARM比による古地磁気強度推定法の開発がありうることを示した。
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