Research Abstract |
昨年度投稿した気候の振動における非線形同期についての,理論的な解析は,今年度の改訂を経て出版された(Minobe and Jin,2004). 1998/99年頃に太平洋周辺の海氷変動にも大きな変化が存在していたことを見出した.ベーリング海の海氷では,海氷と風の特異値分解解析により,春の海氷が1999年頃から東部ベーリング海で顕著に減少し,この変化はアラスカにおける低気圧偏差によって南東風偏差が生じたためであることが明らかになった(Sasaki and Minobe,印刷中).アラスカの低気圧偏差は,研究代表者が1998/99年の主要な変化として指摘した(Minobe 2002,Prog.Oceanogr.) East Pacific Patternの北の極に当たる.また,アラスカからベーリング海にかけての低気圧偏差が,1997年からのオホーツクの海氷の増加をもたらしたことを見出した. 海洋表面水温変動の振幅が大きいフロント域において,1998/99年の変化が過去の変化と比べてどういった特徴を持っているのかを,独自のSST格子データを作成し評価した.北太平洋の亜熱帯フロントでは,顕著な水温上昇が見られるものの,亜寒帯フロントでは特段の変化が見られなかった(Minobe and Maeda,印刷中).このことは,1970年代のシフトでは亜寒帯フロントの方が明瞭な変化を示したことと,対照的な結果である. さらに,1998/99年の変動を理解する上で基礎となる,日本付近の縁辺海の長期間の亜表層水温変動について,日本海をMinobe et al.(2004)として,オホーツク海をMinobe and Nakamura(2004)としてそれぞれ出版した.なお,作成したデータセットは,上の表面水温を含めインターネット上に公開済みである.
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