2005 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋における1998/99年の気候レジーム・シフトの実態と機構の解明
Project/Area Number |
15540417
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
見延 庄士郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70219707)
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Keywords | 十年スケール変動 / 大気海洋相互作用 / 太平洋 / 気候変動 / レジーム・シフト / 気候力学 / 衛星データ / 地球シミュレーター |
Research Abstract |
この概要では特に我が国に関連の深い黒潮・親潮続流について述べる.0.4kmという非常に高い解像度を持つ海洋表面水温の衛星データ解析を行い,1998/99年の水温上昇がちょうど黒潮続流と親潮フロントの間に挟まれていることが明らかにした.その水温偏差は2002年には1998年以前の水準に戻っている.この1998/99年の水温上昇は,また非常に大きな潜熱・顕熱フラックスの変化を伴っており,高い表面水温に対応し,海洋から大気への熱放出偏差が生じていた.この熱放出偏差も黒潮続流と親潮フロントに挟まれている.衛星高度計から推定された表面地衡流速と比較すると,海洋表面水温が高い1999-2001年には,黒潮続流の定在蛇行の第一の峰が通常よりも北上していた.この北上は海洋表面水温上昇の南西部の昇温の局所的な極大をよく説明するものの,より広範な水温上昇は説明できない.そこで地衡流速場を用いて粒子追跡を行ったところ,1999-2001年に黒潮に投入した粒子は,その前後よりも北緯39度以北(昇温域の北半分)に到達する粒子の割合は有意に高かった.この結果は,平均流の位置の変化と関係する渦場による移流が水温上昇に重要な役割を果たすことを強く示唆している.従って,黒潮続流の北偏とそれに関連する渦輸送が海洋表面水温の上昇をもたらしたと考えられる. なお,Minobe and Maeda(2005)で作成した1度×1度の長期海洋表面水温データは,インターネット上に公開し(http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/-minobe/data_by_minobe/sst_1dg_ICOADS/),すでに他の研究者によって利用されている.従って,データ提供という面でも本研究は,一定の貢献を果たしていると言えよう.
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Research Products
(3 results)