2003 Fiscal Year Annual Research Report
直接数値シミュレーションによる数値波浪推算モデルの正当性の検討
Project/Area Number |
15540419
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
田中 光宏 岐阜大学, 工学部, 教授 (70163582)
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Keywords | 海洋波 / 波動間非線形相互作用 / 直接数値シミュレーション / 砕波モデル / 非線形エネルギー輸送 / スペクトルの離散化 |
Research Abstract |
数値波浪推算モデルにおいては,海洋波浪場は伝播方向および周波数の異なるさまざまな波列の重ね合わせとして記述され,その中心となる物理量は方向スペクトルと呼ばれるエネルギースペクトルである.本研究は,このような広帯域不規則波動場の統計的性質を,決定論的な基礎方程式に則った数値シミュレーションによって調べ,それを通して波浪推算モデルの基礎となっている統計的仮定の正当性を検討することを目的としている. このような直接数値シミュレーションを実行するためには,必然的に海面を有限領域に限らざるを得ないが,この操作は本来海洋波浪場が持っている連続スペクトルを,離散的な線スペクトルの集合で置き換えることを意味している. 本年度は今後の研究の基礎固めとして,このスペクトルの離散化の影響を詳細に検討した.すなわち対象とする海面の面積をさまざまに変えてスペクトルの離散化の程度を変化させ,離散化の程度が異なる系から得られる非線形エネルギー輸送関数の比較を行った. その結果,海洋波浪場に代表されるような水面重力波の波動乱流は,スペクトルの離散化に対して驚くほど頑丈であり,例えばスペクトルピーク以下の波数領域をたった4本の線スペクトルで近似するという極端な離散化を行った場合ですら,十分な数のアンサンブル平均さえ用いれば連続スペクトルに対するとほぼ同様な非線形エネルギー輸送を検出できることが明らかとなった. スペクトルの離散化に対するこのロバスト性は重力波の乱流特有のものであり,スペクトルの離散化の悪影響がすぐに「凍結乱流」という異常状態の出現につながることが知られている表面張力波の乱流とは対照的である. 直接シミュレーションに組み込み可能な簡便な砕波モデルも考案した.予備実験によると波群の集中に伴う砕波,広帯域不規則波動場に対する散逸スペクトルともに有望な結果を与えている.
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Research Products
(1 results)