2004 Fiscal Year Annual Research Report
CO2交換モデルによる大気-海洋のCO2収支の定量化と全地球の炭素循環の解明
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15540423
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
秋山 正寿 東海大学, 海洋学部, 助教授 (50246146)
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Keywords | 二酸化炭素 / フラックス / 大気-海洋 / フィードバックモデル / 全炭酸 / 時系列 / クロロフィルa / リモートセンシングデータ |
Research Abstract |
前年度の研究で大気・海洋間におけるCO2収支を定量的に解析するには大気・海洋を一つのフィードバック・システムとして考えなければならないことがわかった。そこで本年度は前年度開発した「全炭酸変動解析モデル」を3次元に拡張し、地球全体におけるCO2の挙動を解明することを行った。モデルの3次元化は、前出のフィードバックシステム・モデルをメッシュ状に地球上の各領域に配置し、当該領域における海水中の全炭酸の変動に寄与する大気・海洋間のCO2交換および海流などによるCO2変動量を時系列で計算するものである。この解析により海水中の全炭酸変動量を大気・海洋間で交換されるCO2および海水交換(海流、植物プランクトンなど)によるものに分け定量化することが可能となる。さらに、海水中の全炭酸の変動の要因として注目されるがその解析が十分でない植物プランクトンの関与に対しても人工衛星観測によるクロロフィルデータを用い、その量、地域性、季節による依存性なども解明することも試みた。解析は、全年度収集した海表面温度、海上風速、クロロフィルデータなどの人工衛星観測データおよび全地球上の大気と海水中のCO2分圧データ、塩分、アルカリ度等の気候値データを用い行った。この結果、地球全体では海洋の全炭酸の変動要因として大気・海洋間のフラックスによる分と、海水変動による分ではおよそ2(μmol/kg/month)の差が生じていることがわかり、北半球では海水交換が南半球ではCO2フラックスによる分が卓越していた。また、海域別では、北大西洋においては海水交換、CO2フラックスによる影響分とも大きくその値は月当たりおおよそ50(μmol/kg/month)、北太平洋、インド洋北部海域では同様に30〜35(μmol/kg/month)程度の値である事がわかった。その他の海域では10〜20(μmol/kg/month)の値であった。また、これらの全炭酸の変動とクロロフィルaとの関連は北太平洋、北大西洋でクロロイルaと全炭酸変動のピーク値が一致するなど顕著な関係が得られた。
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Research Products
(1 results)