2003 Fiscal Year Annual Research Report
成層圏大気の運動をシミュレーションする回転円筒水槽実験
Project/Area Number |
15540425
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
田島 俊彦 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (20027353)
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Keywords | 回転円筒水槽実験 / 大気大循環 / 対流圏 / 成層圏 / ロスビー流 / ベータ効果 / 臨界層 / PIV |
Research Abstract |
中緯度対流圏の傾圧波動を再現する従来の回転円筒水槽実験で、水槽の下層にのみ半径方向に温度差を与え、対流圏の大規模波動にあたる傾圧波動を生成し、さらに観測水の水面を暖め、上層に成層圏にあたる安定成層を作り、ドリフトする対流圏波動が成層圏へ与える影響を調べる実験をした。実際の大気現象では、ベータ効果(コリオリ力の緯度変化)によって対流圏波動が上層に伝播し、成層圏の重要な大気の流れを形成していることが知られ、ベータ効果は大気力学において、南北の温度差、コリオリ力を生成する自転と並ぶ重要な要素である。平成13年〜14年度科研費補助金による研究に引き続いて、ベータ効果がない場合に、成層へ浸透した波動流は、高さとともに減衰するに伴い温度風の関係により極側にあたる内壁が外壁よりも暖かくなるように半径方向の温度差を生成すること等を発見したが、今回の研究では、ベータ効果を起こすために、円筒水槽の底に円錐形傾斜を導入した。理論的には小さい波数の波動がベータ効果を大きく示すので、波数2の波動について、上層の成層にどのように伝播するかどうかを調べる実験をした。渦度は、観測された基本流に基づく準地衡風的渦度方程式に従い、高さとともにゆっくりと減衰することが分かった。又、ベータ効果は、波動流のドリフト速度を遅くすることが知られているが、ドリフト速度についても理論的予測と一致した。研究を進めるにあたり、フランスGrenobleのCoriolis研究所、ParisのLaboratorie d'HydrodynamiqueとCommunity Universityを訪問して、各研究所で講演するとともに、研究課題について議論して来た。特に、画像から流速場を取り出すPIV技術において、サブ・ピクセル技術を学び、今回の実験解析でPIV技術が飛躍的に改善され、渦度の計算の精度が上がるに伴い、結果の信頼性を高めることができた。また、J.Fourie UniversityのJan-Bert Flor教授と本実験理論的側面について議論できたことは、今回の実験結果の解釈に役立った。
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Research Products
(1 results)