2004 Fiscal Year Annual Research Report
成層圏大気の運動をシミュレーションする回転円筒水槽実験
Project/Area Number |
15540425
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
田島 俊彦 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (20027353)
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Keywords | 回転円筒水槽実験 / 大気大循環 / 対流圏 / 成層圏 / ロスビー波 / ベータ効果 / 臨界層 / PIV |
Research Abstract |
本研究では、回転円筒水槽の下層に南北の温度差に当たる半径方向の温度差を与えて対流圏波動に当たる傾圧波動を生成し、表面を暖めて上層に成層圏に当たる安定成層を作り、波動流のベータ効果(コリオリ力の緯度変化)による上方への伝播を調べた。ベータ効果は、波動のドリフト回転を遅くし、プラネタリー波を上方へ伝播させる働きをする。我々は前年度に続き、円筒水槽(水深13cm、半径8.5cm)の底の厚さ3cmの層で波動流を生成し、底から4cm以上の上層に温度がほぼ線形に上昇する安定成層を作り実験した。円筒水槽の底に円錐形傾斜を入れて地形型ベータ効果を導入した実験を行い、波数2の波動は傾斜が0.4以上で準地衡風的渦度方程式に従い上方に伝播し、ドリフト回転が遅くなることを発見した。しかし、臨界点近くでは、渦度はほぼ一定値を取り、準地衡流的渦度方程式には従わないこと、また、理論的には臨界点の高さは一定と仮定されているが、波数に依存していることが分かった。これらの結果をまとめ、雑誌Experiments in Fluidsに投稿した。本研究では、前年度グルノーブルのLEGI/CORIOLIS研究所を訪問して習得したサブピクセルで解析可能なPIV技術が実験の解析に大いに役立った。本研究の成果を、昨年と同様にグルノーブルのLEGI/CORIOLIS研究所およびパリのEcole Polytechnique Laboratorie d'Hydrodynamiqueで講演して議論した。ベータ効果による傾圧波動の鉛直伝播を直接確かめる方法として、強い鉛直流の存在の観測を考えている。この測定のためには、流体の鉛直運動を良く追尾するトレーサ粒子が必要で、トレーサ粒子について議論するためにマルセーユ在住のポリマーテック社長黒澤国策氏を訪問した。球形のトレーサ粒子よりは綿状の粒子を用いて粘性を強くしてはどうかという結論になり、黒澤氏から、亜硝酸から出来る俗に蚕繊維と呼ばれるものが良いかもしれないという提案を得た。この提案を今後の研究で試していきたい。
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Research Products
(1 results)