2003 Fiscal Year Annual Research Report
磁気圏尾部低緯度境界層におけるケルビン・ヘルムホルツ渦
Project/Area Number |
15540426
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤本 正樹 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (30242811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 育 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙科学情報解析センター, 助教授 (20301723)
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Keywords | ケルビン・ヘルムホルツ渦 / 3次元MHDシミュレーション / 電子慣性効果 |
Research Abstract |
磁気圏尾部低緯度境界層におけるケルビン・ヘルムホルツ渦の成長の有無を考察するには、その3次元構造を含めて考える必要がある。というのは、低緯度においていくら成長に都合が良い条件であっても、高緯度においては強い磁場が流れの方向にあり、それが成長を阻害する可能性があるためである。ここでは、その3次元構造におけるケルビン・ヘルムホルツ不安定の数値計算をMHD方程式系で行なった。その結果、プラズマシートの厚さが渦の波長の1/2よりも大きければ渦は十分に成長して巻き上がった構造が得られることがわかった。これは磁気圏尾部において、巻上がった渦が十分に期待できる、ということを意味する。 一方、我々は、巻上がった渦の内部における非MHD効果についても考察した。渦が巻上がれば、その内部では次第に小スケール構造が発達することになり、そこで、非MHD効果が発動して、MHD計算では現れない新しい効果が生まれることが考えられる。ここでは、とくに電子慣性効果を含んだ二流体方程式系で2次元計算を行なった。その結果、(1)流れに磁場が垂直な場合には、渦が巻上がるとその内部で小渦が成長し、それが、元の大渦の崩壊を引き起こす、(2)流れに沿った磁場成分がある場合には、渦の発達にともなってその内部で磁力線が引き伸ばされ、やがて反平行な部分ができて、そこで磁気リコネクションが駆動され、渦の崩壊へと至る、ということがわかった。 あわせて、磁気圏尾部低緯度境界層では十分に渦が巻上がっており、その内部で非MHD効果が発動して渦崩壊が起こり、その結果、境界を横切る大規模プラズマ輸送が起きていることが示唆される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Oieroset, et al.: "Spatial and temporal variations of the cold dense plasma sheet : Evidence for a low-latitude boundary layer source?"Earth's low-latitude boundary layer, AGU Monograph. 133. 253 (2003)
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[Publications] M.Nishino, T.Terasawa, M.Fujimoto: "Observational signatures of plasma transport across the low-latitude boundary layer."Earth's low-latitude boundary layer, AGU Monograph. 133. 265 (2003)
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[Publications] M.Fujimoto, T.Tonooka, T.Mukai: "Vortex-like Fluctuations in the Magnetotail Flanks and Their Possible Roles in Plasma Transport."Earth's low-latitude boundary layer, AGU Monograph. 133. 241 (2003)
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[Publications] T.K.M.Nakamura, M.Fujimoto: "Electron inertia effects in an MHD-scale Kelvin-Helmholtz vortex."Frontiers of Magnetospheric Physics. (印刷中). (2004)
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[Publications] M.Fujimoto, T.Mukai, S.Kokubun: "Structure of the plasma sheet under northward IMF."Frontiers of Magnetospheric Physics. (印刷中). (2004)
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[Publications] T.K.M.Nakamura, D.Hayashi, M.Fujimoto, I.Shinohara: "Decay of MHD-scale Kelvin-Helmholtz instability mediated by parasitic electron dynamics"Physical Review Letters. (印刷中). (2004)