2004 Fiscal Year Annual Research Report
東南極、エンダビーランドの原生代塩基性貫入岩類の古地磁気学的研究
Project/Area Number |
15540434
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 尚人 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (30202964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船木 實 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (10132713)
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Keywords | 東南極 / 古地磁気 / 原生代 / 塩基性貫入岩類 / 段階消磁実験 / 帯磁率異方性 |
Research Abstract |
東南極、エンダービーランドの原生代塩基性火成岩類から超大陸の形成史の解明ための古地磁気学的情報を得るために今年度は1.帯磁率異方性測定,2.段階的消磁実験による安定成分の分離,3.磁気的異方性と安定な残留磁化成分の方向性の検討,を中心に行った: 1.帯磁率異方性測定の結果から,異方性度が上がると共に異方性楕円体の形状が扁平化していくことが示された。また,帯磁率も高くなる傾向が見られる。NE系,E-W系の貫入岩類の方が変形を被っていて,異方性度が高い傾向があり,一方,N-S系は異方性度が低い。異方性度の増加は岩石の変形度合とほぼ対応し,magnetic foliationは異方性度が上がるほど岩脈の接触面(変形構造)と平行になる傾向が認められた。 2.段階的消磁実験の結果,ほとんどの試料から概ね2成分の安定な磁化成分が検出された。低消磁段階成分は,熱消磁実験で約160℃〜360℃または480℃の温度領域で認められる。高消磁段階成分は,熱消磁実験で約480℃〜550℃の温度領域で認められ,(チタノ)マグネタイトが磁化の担い手であることがわかる。低消磁段階成分の方向は,偏角北向き,伏角が負の深い値をもち,最近の地球磁場で獲得された磁化成分と考えられる。一方,高消磁段階成分からは、これまでに塩基性貫入岩類から報告されいるものと同様の地点平均方位(NE系岩脈:偏角SW/伏角-負、N-S系岩脈:偏角N-NW/伏角-正)が得られてきた。NE系岩脈,N-S系岩脈で,方向が異なる特徴的な残留磁化成分の方向が求められる可能性が強くなった。 3.著しい変形を被っている岩脈からは、帯磁率異方性の方向性と類似した高消磁段階成分の平均方位が得られてきている。変形による影響である可能性が示唆される。また,異方性度が比較的小さい地点からの残留磁化方位も帯磁率異方性の最大軸の方向と近接する傾向が窺える。
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