2003 Fiscal Year Annual Research Report
汽水環境における塩分躍層付近の生物生産システムとその地質記録に関する研究
Project/Area Number |
15540436
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
瀬戸 浩二 島根大学, 汽水域研究センター, 助教授 (60252897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入月 俊明 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (60262937)
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Keywords | 赤潮 / 塩分躍層 / 無酸素水塊 / 懸濁態有機炭素 / 水塊構造 |
Research Abstract |
本研究の目的を達成するため,本年は網走湖・能取湖・中海・宍道湖について水質・底質調査を行った.宍道湖・中海については,3回のルート調査,網走湖・能取湖については2回の調査を行った.本年4月は,中海で大規模な赤潮が発生し,中海表層水の懸濁態有機炭素量が増大した.そのような表層水塊が大橋川の底層部を遡上していることや,朝酌川から高懸濁物量の水塊が流出しているのが観測された.また,表層採泥の結果,湖底表層部は通常月より高い有機炭素濃度を示した.7月は,降水量の増加により,中海の表層水が宍道湖レベルの低塩分を示す現象がみられ,中海・宍道湖で普通に見られる2つの塩分躍層が1つになった.その塩分躍層では高クロロフィル量を示した.10月の調査では通常の状態にもどり,2つの躍層付近で高クロロフィル量を示した.網走湖では安定した塩分躍層が見られ,その境界において高クロロフィル量を示した.しかし,表層水全体が比較的高いクロロフィル量を示している.これは,昨年の調査では見られない現象で,表層水に分布する藍藻類と境界に分布する光合成バクテリアの競争関係を反映していると思われる.夏季の底層水は無酸素状態を示し,水塊的に安定していた.冬季の観測でも無酸素状態を示したが,明らかな高塩分水の流入が観測され,流向流速計の観測から潮汐に影響されていることが明らかとなった.能取湖は比較的酸化的な底質環境を示した.しかし,塩分躍層も顕著ではなく,高クロロフィル畳もそれとは無関係に形成されていた.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 高出裕行, 村上俊介, 瀬戸浩二, 坂井三郎, 田中里志, 高安克巳: "京都府阿蘇海における底生有孔虫群"Laguna. no.10. 113-118 (2003)
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[Publications] Yasuhara, M., Yamazaki, H., Irizuki, T., Yoshikawa, S.: "Temporal changes of ostracode assemblages and anthropogenic pollution during the last 100 years, in sediment cores from Hiroshima Bay, Japan"The Holocene. vol.13. 543-552 (2003)
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[Publications] 野中崇春, 松永恒雄, 梅干野晃, 中山大介, 瀬戸浩二: "中海・宍道湖における国土交通省自動観測水質データの検証"Laguna. no.10. 101-107 (2003)
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[Publications] 入月俊明, 中村雄三, 高安克己, 坂井三郎: "中海における過去約40年間の貝形虫(甲殻類)の群集変化"島根大学地球資源環境学研究報告. no.22. 149-160 (2003)
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[Publications] 入月俊明, 瀬戸浩二: "中期更新世における古浜名湾の古環境の時間的・空間的変化-見形虫化石群集と全有機炭素・全窒素・全イオウ分析結果-"地質学雑誌. (印刷中). (2004)
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[Publications] Yasuhara, M., Irizuki, T., Yoshikawa, S., Nanayama, F., Mitamura, M.: "Holocene ostracode paleobiogeography in Osaka Bay, southwestern Japan"Marine Micropaleontology. (印刷中). (2004)