2003 Fiscal Year Annual Research Report
四国三波川帯の破砕帯地すべりにおける破砕帯の構造と地すべり構造の研究
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15540438
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
横山 俊治 高知大学, 理学部, 教授 (20325400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 次男 徳島大学, 総合科学部, 教授 (90035337)
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Keywords | 三波川帯 / 結晶片岩 / 小出 博 / 破砕帯 / 破砕帯地すべり / 地すべり性崩壊 / 岩盤クリープ / 谷側への曲げ褶曲 |
Research Abstract |
四国三波川帯において、小出 博(1955)の定義・命名による「破砕帯」および「破砕帯地すべり」の実態を解明し、斜面災害の予測と軽減に寄与するのが本研究の目的である。 本年度はまず小出の定義と現実の地すべりへの適用の実態を検討し、問題を整理した。四国三波帯には小出の命名した吉野川-紀ノ川破砕帯と御荷鉾破砕帯という大規模な破砕帯が東西に走っていて、今日では、三波川帯を構成する結晶片岩地域で発生する地すべりが破砕帯地すべりの典型であるとまで言われている。しかし、小出の定義した「破砕帯」は今日の用語「(断層)破砕帯」の定義とは異なっている。にもかかわらず、現実には「断層破砕帯と密接に関係する地すべりが破砕帯地すべりである」とする、誤った認識が定着している。また結晶片岩地域の地すべりの多くはゆっくりとした移動を示すことが多く、破砕帯地すべりの特徴である、高速移動を示す地すべり性崩壊ではないので、結晶片岩地域の地すべりが破砕帯地すべりの典型であるとするのは再検討が必要である。 そこでつぎに、小出いう歪力を受けた地帯(破砕帯)の地質体を特徴づける構造の抽出を広域的踏査によって検討した。その結果、ふたつの破砕帯の中で将来地すべり性崩壊に発展しうる構造として、斜面の重力変形のひとつである岩盤クリープによる、谷側への曲げ褶曲が浮かび上がってきた。谷側への曲げ褶曲構造が検出された地点は、御荷鉾破砕帯に相当する地帯では、愛媛県大洲市西部夜昼トンネル、愛媛県上浮穴郡久万町国道380線沿い、高知県吾川郡吾北村葛において、吉野川-紀ノ川破砕帯に相当する地帯では、徳島県貞光町捨子谷、徳島市眉山である。このうち葛では、複数箇所の地すべり性崩壊跡地で、その底面や側壁面に谷側への曲げ褶曲が残存していて、岩盤クリープから崩壊に至る斜面変動が明らかになった。
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Research Products
(1 results)