2005 Fiscal Year Annual Research Report
四国三波川帯の破砕帯地すべりにおける破砕帯の構造と地すべり構造の研究
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15540438
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
横山 俊治 高知大学, 理学部, 教授 (20325400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 次男 徳島大学, 総合科学部, 教授 (90035337)
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Keywords | 三波川帯 / 破砕帯地すべり / 岩盤クリープ / 蛇紋岩 / 緑色岩 |
Research Abstract |
四国三波川帯には、小出が破砕帯の典型としている微小剪断面群の発達する破砕帯は存在しないことが明らかになった。小出の定義に従えば、清水構造帯も破砕帯ではない。清水構造帯は肱川時相の鉛直褶曲作用で著しく変形しているが、褶曲を切る小断層群は小出の定義による破砕帯ではない。四国三波川帯において小出が認定した吉野川-紀ノ川破砕帯・御荷鉾破砕帯の中で破砕帯と呼べる変形岩盤は岩盤クリープ性褶曲の一種である谷側へ曲げ褶曲しかないことが明らかになった。谷側への曲げ褶曲は砂質片岩や緑色片岩で発生しやすく、しばしばテクトニックな非対称褶曲の褶曲軸部をさらに折り曲げて成長している。このようなテクトニックな非対称褶曲による構造規制は超丹波帯で発生している谷側への曲げ褶曲でも起こっている。 黒瀬川帯では、すでに小出が記載していた蛇紋岩のほかに、ペルム紀緑色岩も微小剪断面群が岩体全体に発達する破砕帯であることが分かった。2004年の豪雨災害では、徳島県那珂町阿津江の緑色岩の破砕帯で、崩壊性地すべりの特徴をもつ典型的な破砕帯地すべりが発生した。地すべり発生と同時に移動体全体が角礫に分解し、土石流化しながら谷を駆け下り、幅180mの河川を渡って対岸の斜面に駆け上がり、一時的にはこの河川をせき止めた。樹木に残っている様々な流下痕跡からこのときの土石流の流れを解析すると、扇形に広がった土石流が対岸斜面に乗り上げると同時に両横に広がっていった様子や、対岸斜面に乗り上げた土石流が一転強い引きの流れに変わり、一度は対岸斜面に持ち上げた構造物や倒木共々河川に持ち込んだことなどが明らかになった。
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Research Products
(2 results)