2006 Fiscal Year Annual Research Report
射流領域の大規模洪水による堆積作用とその地層記録への保存ポテンシャル
Project/Area Number |
15540439
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
前島 渉 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20173700)
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Keywords | 堆積相 / 射流 / 洪水流 / 堆積作用 / 扇状地 / 国見累層 / タルチール累層 / 西ポカロ堆積盆 |
Research Abstract |
福井県越前海岸地域の新第三系国見累層については、昨年度までの研究で下部扇状地堆積物中に射流領域のシート洪水流堆積物がよく発達することが明らかとなっていたが、その意義について検討した。国見累層の扇状地では扇面傾斜が交差点近傍で急変し、傾斜が一気に低下することにより河川流の運搬能が急速に衰えて粗粒砕屑物の急速な堆積が起こり、そのため河川チャネルが激しく分岐して浅化してしまい、ついにはチャネルの形態をも失ってしまったと考えられる。そのため洪水時には下部扇状地を広くおおうような流れ、つまりシート洪水がひんぱんに発生し、反砂堆起源の堆積構造をもつ射流領域の堆積物の地層への保存ポテンチャルが高くなったと考えられる。 国外の研究においては、インド、ジャールカンド州西ボカロ堆積盆のペルム紀タルチール累層を検討した。ここのタルチール累層は昨年度までに検討を終えたオリッサ州タルチール堆積盆の同累層と同じく後期古生代ゴンドワナ氷床の消滅期の地層であるが、古テーチス海の海域の影響下にあったという大きな違いがある。タルチール堆積盆における射流領域の大規模洪水流堆積物と類似した堆積構造をもつ堆積物が西ボカロ堆積盆においても確認された。しかし、その多くは随伴する構造をも合わせて考えると、浅海域における暴浪期の複合流堆積物の可能性が高く、射流領域の洪水流堆積物とはみなせない。ただし、氷河作用のもとでの堆積物にともなって、反砂堆起源と考えられる構造もみられ、射流領域のシート洪水流堆積物の存在も示唆される。今後さらに詳細な検討が必要である。
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