2004 Fiscal Year Annual Research Report
新生代二枚貝化石の穿孔捕食痕の時代的変遷-エスカレーションの検証に向けて-
Project/Area Number |
15540450
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
天野 和孝 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (50159456)
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Keywords | 穿孔捕食痕 / 新生代 / 二枚貝 / 時代的変遷 / エスカレーション |
Research Abstract |
研究計画に沿い青森県の下部更新統浜田層、大釈迦層を中心にGlycymeris, Tridontaの採集を行った。また、学内外のGlycymeris yessownsis (Sowerby)の穿孔捕食頻度などを検討し、その時代的変遷について検討した。その結果以下の5点が明らかとなった。(1)G.yessoensisは中新世ではGlossaulaxにより、鮮新世以降は主としてCryptonatica, Euspiraにより穿孔捕食された。(2)昨年度判明している地理的な変異を考慮すると、穿孔頻度の時代的な差異は見られない。これは新第三紀以降は穿孔捕食痕の頻度に変化がないとしたThomas(1976),Tull and Bohning-Gaese(1993),Hagadorn and Boyajian(1997)などの北米西岸のデータと一致する(3)殻縁穿孔(edge drilling)は中新世、鮮新世の標本には見られず、更新世前期以降に初めて出現する。殻縁穿孔は捕食者同士の競争が高い群集中に多く見られる傾向があり(Dietle et al.,2004)、新第三紀末期から現在にかけて一般的になったとするVermeij and Roopnarine (2001)の見解と一致する。(4)捕食者の変化に伴って、穿孔痕の位置は殻頂付近から殻の中央部へと移動した。また、中新世では穿孔痕の位置は一定しているが、鮮新世以降はばらつきが大きくなる。(5)中部更新統鮪川層安田の標本を除き、捕食者と被食者の大きさの間には高い正の相関が見られる。また、相関係数は中新世で高く、更新世中期では低いことが判明した。この原因の一つとして、更新世中期以降の日本海側における海洋生物の絶滅が考えられる。
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Research Products
(2 results)