Research Abstract |
1.全岩主成分・微量元素組成の分析 オマーンオフィオライトから代表者が採取したAlley火山岩類(溶岩・岩脈)約200試料のうち,既に薄片の製作と,顕微鏡観察による鉱物組み合わせの記載が終了している約100試料について,全岩主成分元素分析を行った。また,そのうち,約50試料についてB, Nb, Zr, Y, Rb, Ba, Pb, Sr, Be, Li,約20試料について希土類元素の分析を行った。希土類元素の分析は,新しく確立したイオンクロマトグラフ法を用いて行った。 全岩主成分元素分析の結果,Alley火山岩類中には,これまで考えられていたよりも,ボニナイトが広範に存在することが明らかとなった。それらは,SiO_2=53〜56%, MgO=7〜13%, CaO=8〜13%で多くは高Caボニナイトに分類される。Alley火山岩類にはソレアイト,カルクアルカリの両系列のものが存在するが,ボニナイトは見かけ上カルクアルカリ系列の分化トレンドの最も未分化な位置にプロットされる。微量元素組成では,ボニナイトに特徴的な非常に低いHFS元素含有率(〜0.1 x N-MORB)を示すほか,Rb, B, K, Pb, Liに富む特徴を示す。希土類元素パターンはPr〜Luが単調に左下がりで,Prに谷を持つ特徴的なV字型を示すことが明らかとなった。 2.同位体比分析法の確立 試料の同位体分析を行う前段階として,表面電離型質量分析計を用いたB, Sr, Nd同位体比の測定法をほぼ確立した。次年度以降,本格的な同位体分析に着手する。
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