2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540461
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
加瀬 克雄 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30033195)
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Keywords | 別子型鉱床 / チャート / 微量元素 / 火山性塊状硫化物鉱床 / 三波川変成帯 / 四万十帯 |
Research Abstract |
1.金属鉱業事業団が行った,別子型鉱床の鉱石の全元素分析結果を精査した結果,阿武隈帯の日立鉱床と三波川帯の鉱床で,Ba, Mn等の含有量に有意の相違があることが判明した。分析試料は本研究代表者が収集したものを多く含む。 2.滋賀県土倉鉱床の鉱石について,昨年度に引き続き構成鉱物,特に,主要な脈石鉱物である緑泥石と白雲母について,共生する閃亜鉛鉱の化学組成との関連からEPMAによる詳細な分析を行った。その結果,閃亜鉛鉱のFeSmol%は共生する緑泥石のFe/Fe+Mg比と正の相関関係があり,再堆積構造が顕著に存在する鉱石においても鉱物間の化学組成に密接な関係が存在することが明らかになった。白雲母については同一試料内においても組成変動が大きく,硫化鉱物との平衡関係が認められない。 3.インド洋中央海嶺,沖縄トラフで採取された海底熱水性硫化物試料の鉱物学的性質を,別子型鉱床との成因的比較のために,顕微鏡EPMAを用いて精査するとともに,今までの研究結果を再検討した。その結果,別子型鉱床に化学的性質が類似している海嶺の硫化物鉱床は,一般に黄鉄鉱-磁硫鉄鉱の平衡で示される低い硫黄分圧下で形成されていることが明らかになった。また,海嶺熱水性鉱床は鉱石組織においても陸上の別子型鉱床とは大幅に異なる。海嶺の硫化物鉱床が続成作用を経て陸上の別子型鉱床の鉱石の性質を持つに至ったと考えられる。事実,土倉鉱床の黄鉄鉱中には,低い硫黄分圧下で形成された鉱物組合せ(磁硫鉄鉱やFeSの多い閃亜鉛鉱)が続成作用の影響を受けずに包有物として保存されていることがわかった。陸上の別子型鉱床は続成作用の結果を示していると考えることができる。 4.陸上の別子型鉱床は続成作用の結果を示しているが,硫黄同位体組成や微量元素含有量は初生的な性質を保持していると考えられる。
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