2003 Fiscal Year Annual Research Report
膨潤性粘土鉱物の生成機構の解明とシラス崖崩壊予知の研究
Project/Area Number |
15540462
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
富田 克利 鹿児島大学, 理学部, 教授 (20041220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 元治 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (80224814)
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Keywords | シラス / スメクタイト / 10Å-ハロイサイト / シラス崖の崩落 / 粘土鉱物の合成 |
Research Abstract |
鹿児島県内の多くのシラス崖の表面からシラス試料を採取し、どのような粘土鉱物が生成しているかを調べた。その結果、比較的最近崖が崩れた場所では、崩落しない部分の崖に含まれている粘土鉱物のうちの膨潤性粘土鉱物の量は非常に少なかったが、長い期間崖崩れが起こっていない崖の表面部分には少なからず膨潤性粘土鉱物であるスメクタイトか10Å-ハロイサイトが含まれていることがわかった。場所によって、これらの膨潤性粘土鉱物のうちの1種類が含まれていたり、2種類が含まれていたりした。出水市の針原地区で大規模な地すべりが起こったが、この地域から採取した土砂中には多くの膨潤性粘土鉱物のうちの10Å-ハロイサイトが多く含まれていることがわかった。また、崖崩れを起こして崩落した土砂の中には多くの膨潤性粘土鉱物が含まれていることもわかった。このことは、多くの雨が降った後、膨潤性粘土鉱物の層間に水が侵入し、層間を押し広げたために、それまで土砂中の粒子と粒子がくっついていたものがはがされ、土砂中に割れ目が生じ、その割れ目に水が通りさらに割れ目を大きくしたと同じに、層間に多くの水が含まれたことにより、膨潤性粘土鉱物が多く含まれる部分の重量が増し、崩落したものと考えられる。大分県湯布院町花合野地区では大規模な地すべりが見られるが、その地域の岩石中にはスメクタイトが多く含まれていることもわかった。そのため、天然のシラスを原料にして、シラスからどのようにして膨潤性粘土鉱物が生成するのかを調べるために、合成実験を行った。天然でシラス崖の表面に生成している膨潤性粘土鉱物は、それほど温度も高くなく、大気圧下で生成しているので、低温低圧の条件下で合成実験をおこなった。まだ実験中であるが、かなりの低温、そして大気圧下で膨潤性粘土鉱物のうちのスメクタイトが生成することがわかった。今後この実験を継続して行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] D.G.A.Aleta: "Clay Mineralogical Study of the Tertiary Malubog Formation, Cebu Province, Philippines"鹿児島大学理学部紀要. 36号. 43-57 (2003)
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[Publications] D.G.A.Aleta: "Clay Mineralogical Study of the Pliocene-Pleistocene Carcar Formation and the Quarternary Alluvium in Consolacion-Liloan, Cebu Province, Philippines"鹿児島大学理学部紀要. 36号. 59-77 (2003)